【四月は君の嘘】wacci 1stフルアルバム『日常ドラマチック』を聴く。【オリコン2位】
5人組のポップスバンドwacci。
3年半という歳月を経て、1stフルアルバム『日常ドラマチック』がついにリリース。
8/16(火)付オリコンデイリーチャートで見事2位を獲得。
個人的にもずっと応援している特別なバンドなので、感慨深いものがあります。
現実的に考えて、デビューをして1stフルアルバムを出すまでの期間が3年半というのはそうそうないです。イヤな風に聞こえちゃったらごめんなさい。
CDや配信、音楽が売れないという現在、3年半の間アルバムリリースがないという状況を考えると大抵の場合セールスが上がらずレコード会社や事務所との契約が切れてしまうか、バンドがうまく行かず解散や活動休止してしまうのではないでしょうか。
僕自身、音楽の世界に身を置いていますが見た事がないケースです。たぶん。
では今までwacciの活動はどうだったのかというと、タイアップなどを見てもアニメ「四月は君の嘘」、ドラマ「37.5℃の涙」「隠蔽捜査」「東京スカーレット」「ダブルトーン~2人のユミ~」「押忍!!ふんどし部!」、CM「ハウスのシチュー」、TV「はなまるマーケット」「七人のコント侍」、映画「スープ~生まれ変わりの物語~」など、もうあげればキリがないほどの数があります。
ライブもShibuya WWWから、渋谷CLUB QUATTRO、渋谷O-EASTや渋谷AiiA Theater Tokyo、恵比寿ガーデンホール、そして先日のツアーファイナル品川ステラボールと大きな会場へとステップを上っています。そして次のツアーファイナルは豊洲PIT。
少しづつに見えるかもしれないけれど、地道に、着実に、しっかりと歩んできている。
90年代などはこういうじっくりやっていく期間というのがアーティストにとって何より大事な時間だったのだけど(特に売れた後の地力のために)、今ではそうやってアーティストが育っていく、育てていくのが本当に難しい。
それは古き良き、というものなのかもしれない。
そうして歩んできたwacciの生み出す音楽はまさに珠玉のポップソングといったもので、普遍的でありながらちゃんと「今」がある。
「東京」という曲の中で
ねぇ
どこかで出会って もう忘れた人達へ
僕が消えたらどんな気持ちになりますか?
驚いて 頷いて 数分後には元通り
悲しいけれど 僕もおそらく同じです
という歌詞、歌を聴いた瞬間、今の東京という街を映し出しているようで涙が溢れそうな思いとゾッとする感覚を覚えました。
悲しい、嬉しい、楽しい、ちょっと弱気になってしまったり、がんばらなきゃいけなかったり、出会いや別れがあったり、どんなに時代が変わっても、成長して大きくなっても、結局僕らには日々そういうことがあって、だからこそ人なんだけど、ひとりでは抱えられなくなることもある、やっぱり。
そんな時に、ふと寄り添ってくれる。
wacciにはそんな音楽が溢れていて、聴いた後なんだか少し優しい気持ちになれる。
そんな力があります。
僕自身は割と落ち込みがちなので、「東京」のような曲がとてもフィットするのですが、誰でもきっと「あ、この曲私(僕)にあってる」と思える歌があると思いますよ。
そうして歩んできたwacci。
ドラマ「37.5℃の涙」主題歌の「大丈夫」MVが340万回再生を超えてヒット。
そしてドラマ「侠飯~おとこめし~」、映画「四月は君の嘘」http://kimiuso-movie.jp/
とさらなるタイアップが決まっています。
映画「四月は君の嘘」は広瀬すず、山﨑賢人など人気俳優が出演、主題歌はwacciの先輩バンドいきものがかり。
いきものがかり水野良樹さんのメッセージにもグッときてしまう。
wacciというバンドが、ファーストフルアルバム「日常ドラマチック」を本日リリースしました。素晴らしい歌たちが、たくさん詰まっています。皆さん、ぜひ手にとってみてください。
— 水野良樹 (@mizunoyoshiki) 2016年8月17日
wacci 『東京』 https://t.co/NPxNyEwRLZ
wacciのアルバム。オリコンデイリー2位。よかった。
— 水野良樹 (@mizunoyoshiki) 2016年8月17日
自分のグループ以外でランキング調べたの初めてだよ笑。
『日常ドラマチック』は4形態あります。
通常盤はCDのみ。通常。
初回生産限定盤AはCDとDVD。DVDには「大丈夫」のMVとかレコーディング風景が入っています。
初回生産限定盤BはAのセットにボーナスCDが付いてる。このボーナスCDだけでもミニアルバムくらいあるので、僕はこの初回生産限定盤Bをすすめます。
期間生産限定盤は限定デザインのジャケットのCD。中身は通常盤とほぼ同じですが、ボーナストラックが入っています。
ちなみに予約特典でアナザージャケットも付いてきます。
5種類あって、僕はこれ。ベースの小野さんでした。っていうか気づいたら端っこ折れてる...。裏にはメンバーにちなんだクロスワードパズルがあります。
僕はひとつもわかりませんでした。
予約特典ですが、タワレコで購入した感じ初回特典ぽい雰囲気でした。
つらつらと書いてきましたが、ちょうどアルバムが終わったので(2周目)この辺で。
14曲目に収録されている「変身」という曲、すごく良くてびっくりしました。
それぞれの「この曲いいな」が見つかるといいな。ぜひ聴いてみてください。
【ボイスメモ】デモ音源がiPhoneミュージックアプリに移せないときの対処法。【m4a】
以前にこのブログに関連することを書いていたんですが、最近もミュージシャン友達が困っているのを見かけたりしたので。
画像もなく、テキストだけです。ごめんなさい。
iPhoneでボイスメモに録音したラフだったり、届いた音資料だったりをiPhoneのミュージックで聴くぞ!と思っても聴けない、ということがあります。
ボイスメモのデータをiTunesからiPhoneに移してミュージックアプリで聴きたい!という時がやっぱりあると思います。プレイリストにまとめたりしたい時とか。
MacなんかのiTunesにはあるのに、おっかしーなというのが僕もありました。
そのデータの拡張子がm4aだった場合、基本的にはiPhoneには移せません。
iTunes上でmp3に変換してみてください。そしたらまるっと移ると思います。
無事聴けた!解決!
そっから先の「どうしてそうなるの?」が気になる方へ。
これはApple Musicに加入している人が前提です。
そうでない場合はわかりません。(僕が加入している人のため)
Apple Musicに加入している場合、iTunesからiPhoneへデータを移す時に一旦iCloudミュージックライブラリというところに接続されます。どこにあるんですかね、空かな。
その際にAIFFやWAV、ALAC(アップルロスレス)形式のものはAAC形式に変換されます。
mp3や元々AACのものは変換されません。
つまりiTunes→iCloudミュージックライブラリ→iPhoneという流れになっているんですが、このiCloudミュージックライブラリがm4aに対応していないんですね。
なので変換もされないし、移すこともできないと。
もっともっと厳密にいうと、変換が行われるのはiCloudミュージックライブラリに接続する前、iTunes上です。
それがm4aのデータは変換してくれない、というわけです。
ちなみにmp3やAACでも一定の基準に満たないものは移せないとAppleが言っていますが、その基準は明らかになってないです。たぶん。
検証した範囲でmp3の320とか256とか192とかなら大丈夫だと思いますが、ダメな場合はAIFFとかそういうのにしてみてください。
で、ここまで言っといてなんですが、m4aでもiPhoneに移せるケースがあります。
これがまたやっかいなんですが、その楽曲に紐づくデータがiCloudミュージックライブラリに存在する場合はミュージックで聴くことができるようです。
つまりApple Musicなどで配信されている既存アーティストの楽曲の場合などです。
とりわけミュージシャンにとってよくわからないこの仕様ですが、まあうまく付き合っていくしかないですね。
他の関連記事はこちら。
RADIOHEAD『A Moon Shaped Pool』に見る音楽ビジネスの巧みさ。
RADIOHEAD(レディオヘッド)のニューアルバム『A Moon Shaped Pool』がリリースされました。
しばらくレディオヘッドから遠ざかっていたので、ずいぶん久しぶりに感じます。
MVと共に突如リリースされたシングル「Burn the Witch」は 、アルバムへの期待を抱かせるのに十分なインパクトを与えました。アルバムのティーザー(予告)として賛否含めての話題性も完璧だったように思います。
ウェブサイトもアルバムに特化した形になり、見てみたところ唖然、というか驚嘆しました。
商売うますぎる...!
ここに掲載されているリリース形態は、
- スペシャルエディション(CD・LP・データ、レコーディングテープ、アートワーク、オリジナルパッケージ)
- デジタル(MP3、16bitと24bitのWAVデータ)
- LP(及びMP3と16bitのWAV)
- CD(及び12ページのブックレット)
の4形態となっています。
特段珍しいわけではないですが、大抵の場合「じゃあスペシャルエディションで全部手に入れられるよね」と思ってしまいます。
ところがちょっと見てみると24bitのWAVはデジタルにしかなく、LPやCDはそれぞれシルバーホイルでこだわったジャケットになっています。いわゆる普通のプラケースではなく、きちんと作品としてパッケージされている。
全部手に入れるには文字通り全部買うしかないのですが、CDならCD、LPならLPを買う人にとってもちゃんと満足感を得られるようにしている。LPを聴く人にとっては重量盤というのも引きが強いでしょうか。
それぞれの形態の意味と価値を引き出した、魅力あるものになっています。
僕は「え、これも欲しいし、あれも欲しい、え、全部!」と思ってしまいました。
そして値付けのうまさ。デジタルは11ドルとなっていて、3種類のデータが手に入るなら決して高いとは思いません。むしろ安く感じるくらい。
おなじくLPもCDも、スペシャルエディションでさえ、パッケージに対してお得に感じるような値段設定。
4形態全部買っても日本円で1万5千円くらいでしょうか。
それでこれだけてんこ盛りなものが手に入るなら、全部買っちゃおうかな、という人がいても珍しくないと思います。
あと、これとは別にもうひとつのページがあります。
Radiohead - A Moon Shaped Pool
ここはいわゆる配信リリースの形態一覧になっていて、iTunes、Apple Music、Amazon MP3、TIDAL、Google Playといった現在スタンダードになっているプラットフォームが網羅されています。SpotifyはBurn the Witchこそ配信されているものの、アルバムは配信されていません。おそらく無料会員枠があるためかなと想像します。TIDALはなじみがないかもしれません。まだ日本では開始されていないサービスです。
つまり音楽にお金を払うということをしている人に対しては、その人がどういう形であってもアルバム全曲を聴くことができる(しかもその人のメインスタイルに沿った形で)ということをほぼ完璧に実現しているわけです。
これだけパッケージにこだわり、どれも良心的に感じるような価格設定にする、そして今世の中に存在する新旧含めたあらゆるフォーマットに能動的に対応する、ということはそれだけの資金的な余裕と、いまがどんな時代であってもレディオヘッドという存在、そしてその価値は揺らぐことはないのだという自負がなければできないことなんじゃないかと、音楽のみならずビジネスのスタイルにまで及ぶレディオヘッドのすごさや信念の強さを感じました。
で、実のところアルバムそのものはどうなの?というところですが、僕はとてもいい印象でした。シングル曲はもちろんですが、最後11曲目に「True Love Waits」のスタジオレコーディングバージョンが入っているのにもう簡単にノックアウトされてしまいました。ライブレコーディングバージョンも好きだったけれど、いつかスタジオ録音しないかなーと思っていた曲だったので、念願叶った感じです。
いやー、やっぱすごいですね。RADIOHEAD。
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Macでスカイリムがやりたい。
壮絶に今更、急にスカイリムがやりたくなった。
以前にPS3版を買ってしばらくやってたことがあったんだけど、その頃あまりゲームをやる余裕がなくて(今もあるのかは疑問だが)、結局売ってしまった。
PS3も友人に譲ることになっていて、さあどうするか。
いくつか方法を考えて見る。
1.PS3を友人に譲らない
まずはこれ。友人に泣かれるし一旦譲ることになったものを「やっぱやーめた」というのは人道的にどうなのか、というところが悩ましい。というか良心が痛む。
ただ、懸念材料としてはPS3版を以前やっていたときにセーブデータが大きくなってくるとモタついてくるという症状とか、フリーズとかがやっぱり発生していたこと。
レジェンダリー版で解決されたらしいけど、ちょっと不安。
そしてレジェンダリー版は今買うのでも結構高い。
2.Steam版を買う
この方がソフトの価格自体は安く済む。
けれど一番の問題は自分のマシンがMacだということ。
これにはさらに大きく2つやり方があるかなー。
2-1.Bootcampでやる
Bootcampでネックなのは、Windows専用パーティションが必要なこと。
さらに自分のMacモデルではWindows10に対応していないこと。
今Windows8とかを買うとなると10を買うより高い。
ちょっと現実的ではない。
2-2.仮想化環境を構築する
これならWin10いけるかな。
ただ、VMはMacのスペック的に大丈夫かなーとは思うものの、やっぱりちょっと不安。
ちなみにMacのスペックは4コア16GB。
Parallelsの方がなんかサクサク動きそうな気もする。
どちらにせよ数万はかかりそう。ただWindows10環境を構築できるのは、それ以外で色々助かりそう。
2-3.CrossOver Mac等を使ってやる
無料でWindowsソフトをMacで動かせるアプリないかな、と思ったもののwine周辺はEl Capitanではもう厳しそう。CrossOver MacならEl Capitan対応してるっぽい。
wine周辺は色々面倒、というかなんかちょいちょい手間がかかりそうだけれど、CrossOver大丈夫なのかなという不安はある。
というわけで、2-3.が一番安くすみそう、ではある。
試用版を使ってちょっと試してみようかな、という現在。
無事スカイリムはできるのか!!
※追記
CrossOver MacでSteamアプリのインストールまでは無事いけるものの、Steamアプリのすべてが文字化けするのと、このアプリすら動作があやしい。
文字化けはMSゴシックとかWinのデフォルト日本語フォントを持ってこれればいけそうだけど、どっからダウンロードするんだろう。
Steam Fontには日本語フォントは入ってない。
Steamアプリだけ英語版にしておいてスカイリムは日本語とかでいけるかなー。
見失っていた本質:『WD Web Designing 2016年5月号』を読む
WD Web Designing 2016年5月号
マイナビ出版から偶数月に発売されているウェブデザイン雑誌、『WD Web Designing』。ウェブデザインにとどまらず、Webにまつわるあらゆる事柄を扱っている雑誌です。今回のテーマは「Web戦略のプロが教える問題解決法100」。
その中で特に学びになった、というかハッとしたことがあったのでそれを取り上げます。
ケーススタディ4:ペルソナ(カトウファームウェブリニューアル)
ここで取り上げられているのは米農家のカトウファームさんとウェブ制作会社LIGさんの案件。案件内容はカトウファームさんのウェブサイトリニューアル。
LIGさんはBLOGの運営を非常に積極的にやられていて、ユニークな文体にためになるトピック満載の記事で、ご存知の方も多いはず。毎日読むし、毎日ブクマくらいの勢い。
福島の米農家 カトウファーム
株式会社LIG
自分は仕事でWebに関わる時があり、趣味でサイトを作ったりということもあります。
そんなこともあってWebの新しい話題やデザイン、技術などはなるべく目に入れるようにしているのですが、あるサイトのリニューアルをしようという時にそういった比較的新しい技術やデザインを取り入れようと考えていました。モダンな感じで。
ただ、この案件の記事を読んで自分が根本的なことをすっかり忘れていたことに気づかされました。
その人自身のパーソナリティ。つまりは人柄や性格といったその人自身の本質的な部分。デザインや技術が先行するのではなく、あくまでそういったパーソナリティの実現から始めるということの大切さであり、そのためのデザインであるということ。
ウェブの世界には本当に美しいサイトや、モダンなもの、洗練されたものがたくさんあって、当然なんですがそこに魅了されます。いざそれを自分の領域で活かそうとして、気がつくとそもそもなぜ美しいサイトでなければならないのか、モダンでなければならないのか、というところをおろそかにしてしまいます。
魅せられるあまり、本質を見失っている。
なにより気をつけなければいけないことのはずなのに、無意識のうちにドツボにはまっていました。
カトウファームさんの人柄、性格をなによりも反映したLIGさんのサイト制作に心打たれました。
正直LIGさんのブログは割とラフな、くだけた、もっというとふざけた感じのブログなので、そういう会社なのかなと思っていました。(ごめんなさい)
すごく誠実で真摯な制作会社なんだなと印象も変わりました。(ほんとごめんなさい)
ただ、「カトウファーム」での検索順位が1位ではないので、Schema.org組んであげたりしたらいいんじゃないかなと思いました。(ほんとほんとごめんなさい)
『WD 5月号』は他にもWeb戦略における様々な問題の解決法、というかそのヒントがたくさん盛り込まれていて、何かひとつはあてはまるものがあると思います。
事例として掲載されている企業も実際に仕事で関わったりすることがあると「この会社いい会社だな...」とつくづく思う企業ばかりなので、本質的だと思います。
日々学ぶことばかりですねー。
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【考える】ベビーメタル、バラカン氏の「まがい物」発言のニュースについて
この投稿について
ベビーメタルとピーター・バラカン氏についての一連のニュース、意見、議論を目にして、昨今よく見る炎上と同じ現象が起きています。
多少音楽に関わる身として、単に賛成・反対や、批判などではなく、このニュースから考えられることが何かあるんじゃないか、という思いがありました。
流れを振り返りつつ、自分なりに考えてみたいと思います。
ちなみに私自身の立ち位置としては
・特にベビーメタルのファンではない
・特にピーター・バラカンのファンではない
・みんな仲良くすればいいのに、と思っている
といった感じです。比較的フラットにこのニュースを眺めた人間と言えるでしょう。
では、簡単に時系列を追いつつ、進みます。
ベビーメタルは「まがい物」?
先日ピーター・バラカン氏によるベビーメタルは「まがい物」という発言が、大きなニュースとなり、様々な意見、議論を引き起こしました。
記事にもある通り、BABYMETALの最新アルバム『METAL RESISTANCE』がアメリカのビルボードでのアルバム総合ランキングで39位となったことを受けて、TOKYO MX「モーニングCROSS」でバラカン氏が「世も末だと思っています。」と語り、その後Twitterにおいて「番組の前からメディアを通じて少しは耳にしていましたが、ぼくは全く評価できません。先入観ではありません。あんなまがい物によって日本が評価されるなら本当に世も末だと思います」と書いたことに端を発します。(5/1現在ピーター・バラカン氏のTwitterアカウントは非公開)
それぞれのプロフィール
それぞれのプロフィールについてはみなさんよくご存知でしょうし、ほんとにざっと。
ウィキとか見てください。雑でごめんなさい。
BABYMETAL(ベビーメタル)について
女性3人組のメタルダンスユニットで卓越したメタルバックバンドによる演奏が特徴。元々はアイドルグループさくら学院のメンバー。
アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、カナダなど多くの国でワールドツアーを行なっている。レディ・ガガのオープニングアクトやスクリレックスと共演。
Peter Barakan(ピーター・バラカン)について
YMOの楽曲で作詞を担当。音楽に関する著作多数。第50回ギャラクシー賞においてDJパーソナリティー賞を受賞。『Peter Barakan's LIVE MAGIC!』という音楽フェスを主催。
「まがい物」発言に対する反応
この発言に対し、ファンからの発言に対する非難はもちろん、普段ベビーメタルに関心がない層からも意見や議論が生まれることとなりました。周囲の人間の中にも「ベビーメタル、がんばってる気がするし、面白いしいいじゃん。」という意見を目にしました。
中でも高橋健太郎氏、と柳樂光隆氏によるツイッターでのやりとりが目を引きました。
ここではつまるところ、
・まがい物いいじゃん。
・ぼく(たち)もまがい物。
・そもそもピーター・バラカンの音楽的趣味は偏りがあるし。
というものです。
暗にベビーメタルまがい物認定と、ピーター・バラカン評を同時に行なっている感じですが、まあそういうところだろうなと思います。
そもそもベビーメタルとピーター・バラカンが相入れるわけはなく、ピーター・バラカンにコメントを求め、それに答えたというのが不幸な出来事だった、と言えるんじゃないでしょうか。
そこでもうちょっと考えてみる
実際のところ、海外でのベビーメタルの評価はどうなのかというと、コンセプトとして非常に面白い、というのが評価されている主なところで、正当なメタルではないという認識のようです。
これは海外でも議論を呼ぶところのようで、既存のメタル聴きたいならメイデンとか聴けよ、みたいなのもあるみたいです。
新しい音楽が生まれ、文化として形成されていく時には基本的にそれまでその音楽のファンであった人がアンチのようになり、新しい音楽を支持する人たちとの摩擦が往々にして生まれます。
それは音楽や、文化に限らず例えば会社勤めをしていて、職場のルールを変えよう、みたいな時に生まれる賛成と反対に似ているかもしれません。
50年、100年たてばメタルの音楽文化の中にひとつのあり方として含まれていくんじゃないかなと考えたりもします。ベビーメタルのような、本流とは違うけれどこういうメタルのあり方もあったと。そこまで残っていくかはベビーメタル次第だと思いますが。
「まがい物」でない音楽として
上記のツイッターまとめでも、バラカン氏はブルーズが好き、ということが語られています。
日本という国の音楽は、外国からの影響を受けてい形成されているものがほとんどと言えます。ポップスというのはそもそもあらゆる音楽から成り立っている音楽なのでさておくとして、ジャズ、ブルーズ、ブラジル、ロック、レゲエ、ほとんどなんでもそうです。日本は大概の音楽で本流における一次情報、中心地にはなりえないということ。
日本が中心地として評価されているのはエンターテイメントでは、アイドル、アニメやマンガでしょう。これは多くの日本人、そして外国人が認識しているところだと思います。かつてはこれにゲームもありましたが、その座はもはや譲ってしまっていると思います。
ベビーメタルの場合、そのアイドルという存在とメタルを組み合わせた絶妙なコンセプトが海外で受け入れられ、評価されています。
ただ、日本の音楽に関する評価の主なところがそれで良いのか、というのがバラカン氏の「まがい物」発言から読み取れるような気がしています。
これはもう完全に私自身の個人的な推測、感覚でしかないのですが、他にも本流として海外に評価されていい音楽が今の日本にもあるはず、というのがバラカン氏の思うところなのではないでしょうか。そしてそんな音楽があることに気づかない、評価しない海外へのメッセージも内包されているのかもしれない。
そんなことを考えました。
そして本流として、音楽をきちんと継承していくこと。
ベビーメタルが正当なメタルとして海外で評価を得たいのなら(それを望んでいるかはわかりません)、3人がメタルという音楽を学んでいく必要があるように思いますし、バックバンドを含めてベビーメタルというアーティストにしていたらまた評価のあり方も違ったかもしれません。それじゃそもそもベビーメタルじゃないじゃんっていう話ですが。
ただ、アーティスト、企画、スタッフ、すべてがその音楽に対してきちんと敬意を表している、背負っていく、というスタンスをこれからもっと打ち出していく必要はあるんじゃないかなと考えますし、そうしたらよりベビーメタルが理解され、広がり、浸透していくと思います。
これはピーター・バラカン擁護、ベビーメタル擁護ではなく、両方を応援したい。
つまるところ日本の音楽を応援したいという想いです。
私のようななんでもない些末な人間にできるのは、それだけだと思うので。
ことなかれ主義と言われるとつらいですが。
最後に
言語の壁というのはやはり大きく、特にWEBやプログラムの世界では一次情報が英語であるため、英語圏との発展スピードに大きな差が生じます。
それでも音楽の分野は、言語の壁ではないところで勝負できる。音楽は勝ち負けじゃないけれど。
日本の音楽がうまく世界に発信できる仕組みが生まれていくといいなと、期待しています。
そして同時に、大多数が好きと言っているものに対して、嫌い、好きじゃないと言えなくなってきている世の中を少し恐く感じています。
メンタル弱い人間は黙っているしかない、それもうやめたいなって。
賛成・反対、好き嫌いだけで考えてしまうと、それだけで思考がストップしてしまって、深いところを見ようという意識がなくなってしまう。
自分がどう考えるか、それも含めて学びになったニュースでした。
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Fred Hersch(フレッド・ハーシュ)『Alone at the Vanguard』を聴く
アメリカのジャズピアニスト、Fred Hersch。
ジャズにおける「ピアノの詩人」とも謳われる、ジャズピアニスト、作曲家のフレッド・ハーシュ。
最近ECMを以前より聴くようになってからか、静かなピアノを好むようになった。
ひとりぼんやりしたい時、こうしてブログを書いている時。
美しいピアノの旋律、連なり、流れに身を委ねる。
心がふっと落ち着いていく感覚。
昔も綺麗なピアノは好きだったけれど、今よりもテクニカルなものだったり(フレッド・ハーシュも相当テクニカルだけど)、切なさや悲しみの中の叫び、みたいなどちらかというと表現として掴みやすいものを好んでいたと思う。
フレッド・ハーシュのピアノは柔らかく、それでいて粒が立っていて、そのピアノの音色の中に自分が包まれているようで、なんとも心地いい。
静かなピアノソロというと、ひとり対峙する緊張感やシリアスさ、冷たさ、痛切なもの、そして芸術、そんなキーワードが当てはまることが多いけれど、そのどれとも違う。「ただひとり詩を詠む」、そんな景色だ。
このアルバムもAloneと書かれているけれど、孤独というよりは独りでいることの喜びを感じる時間のような幸福感を覚える。
先日知ったんですが、ブラッド・メルドーの師匠だそうですね。フレッド・ハーシュ。
知らなかった。
最近、あらためてこの長年付き合ってきたピアノという楽器の音色の多彩さに、日々発見と喜びを感じる。
声を大にしてではなく、ひとりそっと、「ピアノって、いいもんだな。」と思うそんな時間。
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- アーティスト: Fred Hersch Trio,Fred Hersch,John Hebert,Eric McPherson
- 出版社/メーカー: Palmetto Records
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Fred Hersch / Norma Winstone: Songs & Lullabies
- アーティスト: Fred Hersch,Norma Winstone,Gary Burton
- 出版社/メーカー: Sunny Side
- 発売日: 2003/04/01
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エブリバディーズ・ソング・バット・マイ・オウン (紙ジャケット仕様)
- アーティスト: フレッド・ハーシュ・トリオ
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