【考える】ベビーメタル、バラカン氏の「まがい物」発言のニュースについて
この投稿について
ベビーメタルとピーター・バラカン氏についての一連のニュース、意見、議論を目にして、昨今よく見る炎上と同じ現象が起きています。
多少音楽に関わる身として、単に賛成・反対や、批判などではなく、このニュースから考えられることが何かあるんじゃないか、という思いがありました。
流れを振り返りつつ、自分なりに考えてみたいと思います。
ちなみに私自身の立ち位置としては
・特にベビーメタルのファンではない
・特にピーター・バラカンのファンではない
・みんな仲良くすればいいのに、と思っている
といった感じです。比較的フラットにこのニュースを眺めた人間と言えるでしょう。
では、簡単に時系列を追いつつ、進みます。
ベビーメタルは「まがい物」?
先日ピーター・バラカン氏によるベビーメタルは「まがい物」という発言が、大きなニュースとなり、様々な意見、議論を引き起こしました。
記事にもある通り、BABYMETALの最新アルバム『METAL RESISTANCE』がアメリカのビルボードでのアルバム総合ランキングで39位となったことを受けて、TOKYO MX「モーニングCROSS」でバラカン氏が「世も末だと思っています。」と語り、その後Twitterにおいて「番組の前からメディアを通じて少しは耳にしていましたが、ぼくは全く評価できません。先入観ではありません。あんなまがい物によって日本が評価されるなら本当に世も末だと思います」と書いたことに端を発します。(5/1現在ピーター・バラカン氏のTwitterアカウントは非公開)
それぞれのプロフィール
それぞれのプロフィールについてはみなさんよくご存知でしょうし、ほんとにざっと。
ウィキとか見てください。雑でごめんなさい。
BABYMETAL(ベビーメタル)について
女性3人組のメタルダンスユニットで卓越したメタルバックバンドによる演奏が特徴。元々はアイドルグループさくら学院のメンバー。
アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、カナダなど多くの国でワールドツアーを行なっている。レディ・ガガのオープニングアクトやスクリレックスと共演。
Peter Barakan(ピーター・バラカン)について
YMOの楽曲で作詞を担当。音楽に関する著作多数。第50回ギャラクシー賞においてDJパーソナリティー賞を受賞。『Peter Barakan's LIVE MAGIC!』という音楽フェスを主催。
「まがい物」発言に対する反応
この発言に対し、ファンからの発言に対する非難はもちろん、普段ベビーメタルに関心がない層からも意見や議論が生まれることとなりました。周囲の人間の中にも「ベビーメタル、がんばってる気がするし、面白いしいいじゃん。」という意見を目にしました。
中でも高橋健太郎氏、と柳樂光隆氏によるツイッターでのやりとりが目を引きました。
ここではつまるところ、
・まがい物いいじゃん。
・ぼく(たち)もまがい物。
・そもそもピーター・バラカンの音楽的趣味は偏りがあるし。
というものです。
暗にベビーメタルまがい物認定と、ピーター・バラカン評を同時に行なっている感じですが、まあそういうところだろうなと思います。
そもそもベビーメタルとピーター・バラカンが相入れるわけはなく、ピーター・バラカンにコメントを求め、それに答えたというのが不幸な出来事だった、と言えるんじゃないでしょうか。
そこでもうちょっと考えてみる
実際のところ、海外でのベビーメタルの評価はどうなのかというと、コンセプトとして非常に面白い、というのが評価されている主なところで、正当なメタルではないという認識のようです。
これは海外でも議論を呼ぶところのようで、既存のメタル聴きたいならメイデンとか聴けよ、みたいなのもあるみたいです。
新しい音楽が生まれ、文化として形成されていく時には基本的にそれまでその音楽のファンであった人がアンチのようになり、新しい音楽を支持する人たちとの摩擦が往々にして生まれます。
それは音楽や、文化に限らず例えば会社勤めをしていて、職場のルールを変えよう、みたいな時に生まれる賛成と反対に似ているかもしれません。
50年、100年たてばメタルの音楽文化の中にひとつのあり方として含まれていくんじゃないかなと考えたりもします。ベビーメタルのような、本流とは違うけれどこういうメタルのあり方もあったと。そこまで残っていくかはベビーメタル次第だと思いますが。
「まがい物」でない音楽として
上記のツイッターまとめでも、バラカン氏はブルーズが好き、ということが語られています。
日本という国の音楽は、外国からの影響を受けてい形成されているものがほとんどと言えます。ポップスというのはそもそもあらゆる音楽から成り立っている音楽なのでさておくとして、ジャズ、ブルーズ、ブラジル、ロック、レゲエ、ほとんどなんでもそうです。日本は大概の音楽で本流における一次情報、中心地にはなりえないということ。
日本が中心地として評価されているのはエンターテイメントでは、アイドル、アニメやマンガでしょう。これは多くの日本人、そして外国人が認識しているところだと思います。かつてはこれにゲームもありましたが、その座はもはや譲ってしまっていると思います。
ベビーメタルの場合、そのアイドルという存在とメタルを組み合わせた絶妙なコンセプトが海外で受け入れられ、評価されています。
ただ、日本の音楽に関する評価の主なところがそれで良いのか、というのがバラカン氏の「まがい物」発言から読み取れるような気がしています。
これはもう完全に私自身の個人的な推測、感覚でしかないのですが、他にも本流として海外に評価されていい音楽が今の日本にもあるはず、というのがバラカン氏の思うところなのではないでしょうか。そしてそんな音楽があることに気づかない、評価しない海外へのメッセージも内包されているのかもしれない。
そんなことを考えました。
そして本流として、音楽をきちんと継承していくこと。
ベビーメタルが正当なメタルとして海外で評価を得たいのなら(それを望んでいるかはわかりません)、3人がメタルという音楽を学んでいく必要があるように思いますし、バックバンドを含めてベビーメタルというアーティストにしていたらまた評価のあり方も違ったかもしれません。それじゃそもそもベビーメタルじゃないじゃんっていう話ですが。
ただ、アーティスト、企画、スタッフ、すべてがその音楽に対してきちんと敬意を表している、背負っていく、というスタンスをこれからもっと打ち出していく必要はあるんじゃないかなと考えますし、そうしたらよりベビーメタルが理解され、広がり、浸透していくと思います。
これはピーター・バラカン擁護、ベビーメタル擁護ではなく、両方を応援したい。
つまるところ日本の音楽を応援したいという想いです。
私のようななんでもない些末な人間にできるのは、それだけだと思うので。
ことなかれ主義と言われるとつらいですが。
最後に
言語の壁というのはやはり大きく、特にWEBやプログラムの世界では一次情報が英語であるため、英語圏との発展スピードに大きな差が生じます。
それでも音楽の分野は、言語の壁ではないところで勝負できる。音楽は勝ち負けじゃないけれど。
日本の音楽がうまく世界に発信できる仕組みが生まれていくといいなと、期待しています。
そして同時に、大多数が好きと言っているものに対して、嫌い、好きじゃないと言えなくなってきている世の中を少し恐く感じています。
メンタル弱い人間は黙っているしかない、それもうやめたいなって。
賛成・反対、好き嫌いだけで考えてしまうと、それだけで思考がストップしてしまって、深いところを見ようという意識がなくなってしまう。
自分がどう考えるか、それも含めて学びになったニュースでした。
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