MUREADER’s blog

DAW、プラグイン、音楽機材などDTMの話が多めです。

シンガーソングライター菅野恵が新MV「深淵」を公開。

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菅野恵(すげのめぐみ)が新MV「深淵』を公開

菅野恵が5/14にリリースするニュー・アルバム『Hello to U』収録曲「深淵」のMVをYouTubeで公開。

 

この映像は菅野恵自身が以前に住んでいた場所を中心に撮影されている。

人それぞれが抱える孤独、他人からは伺い知れないものを東京の夜の街並みに重ねながら描き出し、独り歩く後ろ姿やタバコの煙をくゆらす場面、人が持つふとした瞬間の「深淵」という表情を切り取った、印象的なMusic Videoになっている。

監督はオオタシンイチロウ。

youtu.be

 

菅野恵は福島県出身のシンガーソングライター。

東京と福島を中心に活動、これまでに4枚のミニ・アルバムをリリース。

「メッセージ」「グリーンピース」「ドラマチック」の3曲が福島銀行のCMソングに採用されており、2016年4月には福島テレビの新番組「きみこそ明日リート」のテーマソングに書き下ろしの新曲「The Challenger」が決定している。今期待の女性シンガーソングライター。

 

これまで制作されたMVは現在もYouTubeで公開中。

 

「運命の恋」Music Video

youtu.be

 

「メッセージ」Music Video(福島銀行CMソング)

youtu.be

 

 

菅野恵 オフィシャル・ウェブサイト

菅野 恵 Official WebSite

 

菅野恵 Twitter

twitter.com

 

 

 

 

 

NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST【CD】

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NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST【アナログ(数量限定生産)】 [Analog]
 

 

ハチのことば∞

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わが美しき故郷よ

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歌で逢いましょう

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歌で逢いましょう [完全限定生産アナログ盤] [重量盤180g 2枚組仕様] [Analog]

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マンガ『BLUE GIANT』に学ぶミュージシャンのあるべき姿:その1

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小学館ビッグコミック」で連載されている石塚真一のジャズマンガ『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』。マンガ大賞2016で第3位に入り、ジャズ好きならずとも、そのおもしろさに引き込まれている方も多いと思います。

ジャズという音楽と真摯に向き合い、多くのジャズミュージシャンを取り上げていることから、ジャズを知らない方にとってもとても良い入門書になるのでは。

マンガの中で描かれているものはミュージシャンでも学ぶこと、改めて発見することも多く、この『BLUE GIANT』を題材にミュージシャンはどうあるべきかや、ミュージシャンに関わるあれこれを考えていきたいと思います。今回は第1巻。

ミュージシャンにとっては当たり前のことも多いかもしれませんが、最初から振り返ってみる、という感じです。

 

とにかく練習する 

第1巻以降も度々描かれる練習シーン。練習場所を確保できない主人公の宮本大は河原土手、トンネルの中など人気のない場所で練習をします。晴れの日はもちろん、雨の日もトンネルに向かい、夏の暑さでダラダラと汗を流しながら。

効率よく理にかなった正しい練習法というのは先生についたり、スクールに通ったりすると教わることはできますし、体系化されたものもあります。初心者が闇雲に独学でやり続けると変な癖がついてしまったり、あまりにも遠回りだったりします。

ただ、楽器を教わる、音楽を教わることを選ぶとついつい受け身になってしまう危険性もあります。毎日の練習ノルマが決まってしまい、それをこなすためだけの毎日。最初はキラッと光る原石だったものが、気がつくと見た目だけ綺麗なニセモノになってしまっている。

 

一番良い教材はいつも目の前にあるはずで、CDやレコードなどの音源、いまだったらYouTubeもありますし、なによりライブを観に行って肌で音を感じるというのが大切です。好きなミュージシャンがどういう音色でどういうフレーズをどういうリズムで演奏しているのか、動画やライブであればさらにどう体を使っているのか、丹念に丁寧に耳と目をフルに使って観察することが重要です。

ミュージシャンが最終的に求めるもの、あるいは最初から求めているものはおそらくみな一緒で、出したい音を出す、表現したい音楽を表現する、ということだと思います。

自分が出したい音はなんなのか?この練習でそれが実現できるのか?

「なんかここんとこしっくりこないなー」と思ったら一度自分で自分をレビューしてみること。実現したいこと見据え、見失わないことが大事です。

 

個人的には人生で一度は、ある程度の期間教わった方が良いなと思っています。

比較的自由と思われているジャズであっても、理論以外にいろんなルールやマナーがあります。自分というミュージシャンを観察してもらいアドバイスをもらうことで、自分だけでは気付きようのない発見もたくさん生まれます。

そしてとにかく練習する。その中で自分に合ったやり方、練習と休養のバランスなどを考えていくと良いと思います。

 

 

練習場所の確保:土手で練習する

個人的なことを話すと、自分が担当している楽器はピアノで、基本的に練習場所は家やスタジオになります。他にはスタジオなど、グランドピアノやアップライトピアノは持ち運ぶことができない、シンセやキーボードはアンプやスピーカーがないと音が出ないため、自ずと練習場所は限られてきます。ヘッドフォンをつないで家で練習したり、しっかり音量を出して練習したい場合はスタジオ、と基本的に二択です。

 

BLUE GIANT』の主人公、宮本大はテナーサックス。作中では河原の土手で練習するシーンが度々出てきます。このご時世「河原で練習...?」と思われるかもしれませんが、サックスやトランペットのように音が大きい楽器は練習場所の確保というのは非常に重要かつ、難しいところです。親が音楽をやっていて理解がある、防音部屋があるなどそういった環境があればいいですが、この宮本大のように家族が音楽をやっているわけでもなかったり、例えばマンションなどでは家で練習するとなると露骨に近所迷惑になってしまいます。苦情になりやすい生活騒音を調べると、やはり楽器が上位に来ることが多いようです。スタジオを借りる費用も回数を重ねるとバカにならないため、自分の周囲でも河原の土手で練習するという人は割といます。

 

あとはスタジオより安く済むのがカラオケ。店舗数も圧倒的に多く、音楽スタジオが近くにない、土手もないという時にまず候補にあがります。ドラムや電子楽器がいないアコースティックな編成の場合、バンドのリハーサルをカラオケでやるというのもあります。場所を借りて練習するとなると、場所代だけでなく交通費やカラオケならドリンク代などもあるので、トータルで自分の予算に合わせた方法を考えるというのがやはり大事です。音楽をやっていくのはやはり何かとお金がかかるので、練習場所についてはなるべく安く済ませたいですね。

費用面で余裕があれば、楽器店などが運営している音楽教室に入会し、空き時間に借りれるスタジオを借りるという方法もあります。結構高くつきますが。

 

近所の楽器音に悩まされている人にとって、音楽は騒音でしかありません。

ご近所付き合いや周囲への気遣いを大切にすることが、音楽を続けていく土台作りとして大事だなと感じます。

 

音楽の初期衝動。初心忘るるべからず。

主人公の宮本大も最初からジャズが好きだったわけではないようです。

音楽に限らずどんな職業でも、そこにハマるきっかけというのは必ずあります。

宮本大の場合は友達と訪れたジャズクラブ(ジャズバー?)でのライブを観たことがきっかけになりました。

自分の場合はテレビゲームでした。幼い頃からピアノは教わっていましたが、夢中になるわけではなく嫌々通う習い事というのが現実で、大好きだったゲームをやっている時に流れているBGMに「なんて綺麗なメロディーなんだろう」と思ったのが好きになるきっかけで、音楽をやっていきたいと思った最初でした。

音楽をやってモテたい、ヒットをとばしてお金持ちになりたい、という気持ちが出てくる時もあるかもしれませんが(発想が旧時代的すぎるか...)、誰しも時間を忘れて虜になった瞬間があるはずです。

 

音楽を続けていくと、辛い場面に日々遭遇します。もうびっくりするくらい。

全然上手くなってるように感じない日々の練習、ライブで大ポカしちゃった、すごくシビアなレコーディング、先輩やお客さんからの痛烈なダメ出し、などなど...。

「常に楽しい」という人も時々いますが、大半の人はそうでないでしょうし、そういう時に自分の原体験に立ち返ってみるというのはとても大事です。

きっと音楽に感動して、やりたい!と思ったことに真っ直ぐで、正直だったはず。

自分の音楽にとってのルーツというのはつい忘れがちですが、モチベーションの維持、向上のためにも時々省みる時間を用意してあげるのが良いと思います。

音楽は楽しく。

 

楽器のランニングコスト:消耗品について

音楽をやる上で一番お金がかかるのはやはり楽器そのものですが、それ以外にも日々色々なところでお金が消えていきます。現代風に言えばランニングコスト、でしょうか。

サックスやクラリネットオーボエなどであればリード、トランペットやトロンボーンであればグリス、ギターやベースであれば弦やピックが代表格でしょうか。ピアノにも年に一度は調律が必要ですし、楽器は楽器を買っておしまい、というものではありません。それぞれの楽器にそれぞれの消耗品があります。楽器そのものを定期的にメンテナンスする必要もあります。

楽器を始めた段階で、自分の楽器に関わる消耗品はなんなのか、月にどのくらい費用がかかるのか、家計簿とは言わずとも把握しておいた方が良いです。新しいマウスピースやシールド、欲しいものはどんどん増えていきます。

 

ミュージシャンであれば、その楽器や機材でどのくらい稼げているのか、新しく導入してその分だけ稼げる見込みがあるのか、などを考えると現実的なところが見えてきていいかもしれません。欲しくなるものは本当に際限なくあるので、うまく取捨選択の材料にするのも良いのではないでしょうか。なにより旦那さんや奥さんなど、家族を説得するために。笑

 

 

ジャズってなに?オシャレな音楽?

これはよく聞かれることでもあり、難しいところでもあります。というか、みんなどう答えているんだろう?うーん。

人によってオシャレな音楽と捉える場合もあるし、渋い音楽と捉える人もいます。自分の経験だと高校時代に教室でビル・エヴァンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』をかけていたら「なんでそんな渋い音楽聴いてんの?それってジャズ?」と言われたことがあります。

ジャズという音楽が生まれて気づけば随分たちますが、その音楽的なスタイルも様々です。ジャズと言っても一口にくくれない、そんな時代になりました。

 

BLUE GIANT』では楽器がメインのインスト、だったりアドリブがあって、とか熱い、といった表現で言われています。もちろんヴォーカルものもたくさんありますが、基本的に英語です。 気軽に聴くのが難しい音楽になってしまったのかもしれません。

作中のようにひやかし、からかいならともかく、本当にジャズを聴いてみたいと思っている人に聞かれたらどう答えるのがいいんでしょうか。

音楽を全然聴いたことがなくていきなりジャズというのはあまりないと思うので、相手の音楽的な趣味(綺麗なのが好き、元気なのがいい)というのに沿った音楽を提案したり、というのが無難かな...。

あとは自分が経験した原体験に近いものを一緒に追体験してもらうのがいいかもしれません。それが一番紹介する側も楽しく、熱くなれるんじゃないかと。

感動の度合いとしてはやっぱりライブに勝てるものはないな、と思っています。

 

とは言うものの、作中のひやかしは結構的を射ていて、「ワケがわからない」「メロディーがとりづらい」「何がいいのかわからない」というのは確かにそうだなと思います。そういう人には「なぜジャズを聴いてみようと思ったの?なぜ興味が湧いたの?」というところから真摯に答えていくのも音楽を伝える側として大事なことなんじゃないかな、と感じました。

 

 

「夢見てていいねー」周囲の心無い言葉。

世界で一番のジャズミュージシャンになる、と真っ直ぐな主人公宮本大。

さっきのひやかしクラスメイトから「夢見人的な」といった感じでもつっつかれています。これはもうミュージシャンあるあるで、社会人になる年齢ともなると相当しょっちゅう言われます。むしろこのクラスメイトすげーな、と思ってしまったりします。

内心は「だってやりたいんだもん!」としか言いようがないだけに、いい答え方がなかなか浮かびません。軽く流してしまったり、話題を変えたり。

ミュージシャンでない人にとってミュージシャンのわかりやすい成功例はいまだに「メジャーデビュー」「テレビに出る」「有名なアーティストと共演する」「100万枚売れる」みたいなところで、なかなか理解を得るのは大変です。

総務や経理など日の当たりにくい部署と同様に、ミュージシャンで生きるにも様々な生き方や役割があります。そのあたりをうまくわかってもらえるといいんですが、人間関係にあっさり亀裂が入ってしまうセンシティブな話題ですね。

ただ、30代もすぎるとみんな色々人生経験も積んできて、どの世界で生きるのも大変だというのがわかってくるのもあってだんだんと落ち着いてきます。

 

一方で、ちゃんと道筋を立てて生きていられればそういうことを言われることもないはず。自分が何年後どうなっていたいのか、そのために今何をすることが必要なのか、自分のライフプランを見つめるいいチャンスでもあるかもしれません。

まあ、イラっとくるんですけどね。笑

 

音楽に限らず、自分が周囲に立つ側になったら人が夢中になっていることをバカにしないようにしよう、と思いました。そもそも人としてそういうこと言うのはないだろう、と。

 

 

音を聴く

自分の音を出す、ということ以上に大事なことかもしれません。

第1巻の終盤で「うるさいんだよ!君は!!」とお客さんに言われてしまう宮本大。

自分の演奏に没頭するあまり、周りの音がまるで聴こえていない、考えられてないということがあります。ジャズに限らず音楽は会話なので、相手の話を聞くということをおろそかにしてはいけません。自分が目立つことではなく、その場の音楽がどうやったら最上のものになるか、そういう意識でライブにのぞむことを心がけています。

そういった瞬発力や判断力はやはりライブの現場でこそ培われるもので、意識をもって数をかさねていくしかありません。ポップスのメジャーの現場などは特にそれが顕著だと感じていて、その場のスターであり主役は紛れもなくアーティスト本人です。

そういった場所で自分本位なプレーや判断をしてしまうと、いくら技量があってもすぐにクビを切られます。名脇役でありつつ、ソロ回しなど必要な場面で主役になれるよう、日頃から意識していると良いと思います。

ただ、失敗はつきものなので必要以上に慎重にならず、臆病にならず。

捨てる神あれば拾う神あり、自分も何度か経験したことのある象徴的なシーンでした。

 

 

音楽に一番大事なものは、ハート。

 作中で友人をサックスで励ますシーンが2度出てきます。

これはもう書く必要もないかもしれませんが、音楽にとって一番大事なのはやっぱりハートです。テクニックや理論はそれを助けるためのあくまでも補助輪。

人を想う、ということもそうだし、自分が心から出したい音。自分の心の奥深くにある音。それを体の全部、全身全霊を用いて音にする。

これがあるからこそ、人に伝わり、響き、残る。

一音一音を大切に。それが練習であっても。

 

 

どの項目もちょっと触ったくらいのつもりが、書き始めたら随分長くなってしまいました。流し読みしてもおもしろい、じっくり考えてもおもしろい、読み返してみてもおもしろい。いいマンガだなとあらためて思いました。

作中に出てきたジャズメンを取り上げようかと思ったんですが、そんな余裕ないですね。それはまた別の機会に。

オススメします、『BLUE GIANT』。

 

 

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 2 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 2 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 3 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 3 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 4 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 4 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 5 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 5 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 6 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 6 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 7 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 7 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 8 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 8 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

 

 

 

 

 

喪失と追悼:Prince『HITnRUN phase two』

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Prince突然の死

日本時間4/22午前3時頃、Princeの突然の死が世界中を駆け巡りました。

朝起きて知った、という方も多いとおもいます。

 

僕はというとちょうど寝ようという頃で、突然の訃報に目を疑い、ショックで眠気もどこかへ行ってしまい茫然としました。絶句、というのが正しいかもしれません。

その死を受け止められず、プリンスを聴くという気持ちにもなれずただ漂っている、そんな時間でした。

 

世界中のミュージシャンをはじめ、著名な方たちやファンが追悼のメッセージを寄せ、その数はおびただしいものでした。SNSのタイムラインはプリンス一色。

 

先日プリンスが救急搬送されたというニュースを目にして、その時「やばいんじゃないか」と一瞬不安がよぎりましたが、インフルエンザということだったのでまあ大丈夫だろうなと胸をほっとなでおろし日々を過ごしていました。

だから逆にというのもあるし、57歳という若さもあって、驚きは大きかったです。

こんなにもショックなのかと自分で自分にびっくりもしました。

Prince信者かというとそういうわけではない、というのは自覚しているところでもあったので。

ただ、音楽にふれて生きてきた中で、節目節目というか、人との結びつきを考える時にプリンスがそこにいた、ということは何度もありました。

 

一夜明けて、一日を無為に過ごし、今ようやく何か聴こうと思い取り出したのはPrinceの最新作であり遺作となってしまった『HITnRUN phase two』でした。

これは以前にもこのブログで取り上げたことがあります。

 

Princeの作品について 

Princeのファンはここ日本でもたくさんいて、思い入れのある曲、アルバムというのがそれぞれにあることと思います。

デビュー作の『For You』、自身の名前を冠した2作目『Prince』、その存在を世界中に知らしめ大ヒットとなった『1999』やアカデミー賞を受賞した自伝映画のサントラ『Purple Rain』、衝撃的なジャケット、アルバム構成(トラック分けされておらず通しで聴くしかない)の『Lovesexy』や2000年代に入っていいわゆるジャズファンやファンクファンにも衝撃を与えた『The Rainbow Children』や『Musicology』など把握できるオリジナル・アルバムだけでも51枚もの作品をリリースしています。

 

僕自身Princeをリアルタイムに聴き始めたのは、ジャズを始めた時期と重なった『The Rainbow Children』あたりからです。他の人と比べると相当に遅い、です。

その頃からでも20作近くリリースしているんですから、その創作意欲というのはものすごいなとあらためて感じます。

 

昔からのファンからすると、近年のPrinceは以前と比べてあまり評価できないというところももしかしたらあるかもしれませんし、特に異論を挟むこともないです。僕自身、遅いので。もちろん昔から今に至るまですべてのPrinceが好きな方もいらっしゃると思います。

僕が思ったのは、やはり限りなく今に近いPrinceを今聴きたい、ということでした。

 

『HITnRUN phase two』

そしてこの『HITnRUN phase two』。

これは2015年アメリカのメリーランド州ボルティモアでの痛ましい事件に端を発した「BALTIMORE」から始まります。

いまだ存在する黒人への人種差別。この事件は大規模なデモへと発展し、日本でも大きなニュースとなりました。

 

戦争がないということ、それは平和ってことじゃない。

僕らはもう泣き疲れた、人が死んでいくのは耐えられない。

銃を捨てよう。

今こそ、愛そう。聴こう、ギターを。

正義がないのなら、平和なんてない。

 

プリンスの痛切な叫び、訴えが心に深く刺さります。

そして音楽家としてのすごさを感じるのは、その日々の情景や沈痛な空気、悲壮感やどこかに漂う「まだこんなことを繰り返していくのか」という諦めにも似た感情が、コードワークやアレンジに見事に落とし込まれていて、それが言葉と一体になって迫ってきます。

こういった表現ができるミュージシャンというのは、本当に少ない。

 

 

そしてここからプリンスは黒人としての生、言葉、音楽、そして愛をこのアルバムで描いていきます。

2曲目「ROCKNROLL LOVEAFFAIR」でそこまでの沈痛な空気ががらっと変わり、音楽に身を委ねよう、そんな空気が現れます。

とにかく2と4をとにかく入れ込むというビジュアルもさることながら、歌詞の韻の踏み方も小気味好くユニークな「2.Y.2.D」。

思わず聴き惚れてしまうムード満載なイントロから始まるR&B、Soulな「LOOK AT ME,LOOK AT U」。YouをUに、toを2、forを4というのはもちろん、WhyをYに、IをEyeにととにかく置き換えまくるのが歌詞を読む時のビジュアルとしてもおもしろい。アメリカって今みんなそうなんですかね?海外のアーティストの場合ライナーに歌詞を入れない人も多いですが、プリンスがそれだけ歌詞の表現を大事にしているのか、というのがよくわかります。

「STARE」でもプリンスは数字を使ってたくさん遊びます。ファンクの1.2.3をSTAREに見立てるように。秀逸。

「XTRALOVEABLE」。これはもうタイトルでやられちゃいますね。エクストラですよ、エクストラ。EYE'D REALLY LOVE 2 C U DANCE。ダンサブルでハッピーな1曲。

体の芯まで音楽を楽しむ。

 

そして「GROOVY POTENTIAL」。このアルバムで「BALTIMORE」の他に1曲なにか選ぶとするなら(色々迷っちゃいますが)この曲です。

WE GOT THE GROOVY POTENTIAL、グルーヴの可能性ってもんを見せてやるよと言わんばかりに、変幻自在にうねり、とてつもないグルーヴに到達する。

黒人音楽に魅せられたミュージシャンには常にグルーヴというのが付き纏うけれど、こういうもんです、はいどうぞ!とベストな料理が出てきたという感じです。

ぐうの音も出ない。文句なしに狂えます。

 

Soul Loveな「WHEN SHE COMES」、底知れない歪のエネルギー「SCREWDRIVER」、音楽の神様とユニークに会話する、ミュージシャンに勇気をくれるような「BLACK MUSE」、そして個人的にはプリンスの宗教色を感じる「REVELATION」、最後は「あなたの腕の中はビッグ・シティ」となんだか最高な気分にさせられてしまう「BIG CITY」で終わります。

 

かつてのPrinceが世の中に与えたエポックメイキングなサウンド、というのは正直ありません。

ですが、社会や生をひっくるめた黒人音楽とはなんなのか、というのをこの作品でPrinceから学ぶことができますし、それにはこのアルバムがベストのひとつなんじゃないかなと思います。

 

最初このアルバムは配信のみでリリースされていて、それをずっと聴いていたんですが、CDがリリースされて聴いてみると音の違いにびっくりしました。それほど大きくは変わらない印象の音楽もありますが、この作品は全然違います。

最近はApple Musicで音楽を聴くことも多くて、ここまで違うとあらためてちゃんとCD買おうと思わされました。

配信でもいいですが、ぜひCDで聴くことをおすすめします。

 

悲しみから喜びへ、生きている限り変えていかなきゃいけないんだな。

聴いているうちに顔が前へと向いている、音楽の喜びと共に。

そう思うアルバムです。

 

一夜明けて

Princeの死のショックをPrinceが変えてくれた。そんな夜です。

 

折しも、Piano&a Microphoneというピアノと歌のツアーの真っ最中でした。

Princeと言えばやはりギターのイメージが強くあるので、その形でいったいどんな音楽を見せてくれるのだろう、そしてそのあと生まれる作品はどんなものだろうと楽しみにしていました。果たしてphase threeがあったのか、とかそういうことも考えてしまいます。

 

PrinceのCDを全て集めるのは至難の技ですが(これだけのビッグ・アーティストでこれだけ手に入らないというのはすごい)、これからも聴いていない作品を聴いていこうと思います。

 

 

Hitnrun Phase Two

Hitnrun Phase Two

 
Hitnrun Phase One

Hitnrun Phase One

 
Art Official Age

Art Official Age

 
Prince [Analog]

Prince [Analog]

 
Prince

Prince

 
Purple Rain (1984 Film)

Purple Rain (1984 Film)

 
For You [12 inch Analog]

For You [12 inch Analog]

 
1999

1999

 
For You

For You

 
Lovesexy

Lovesexy

 

 

 

映画『Cu-Bop(キューバップ)』を観る

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大ヒットを記録した音楽ドキュメンタリー映画『Cu-Bop』のDVD発売を記念してアメリカ上映バージョンが公開ということで観てきました。
これはサックス奏者、音楽家菊地成孔のアドバイスにより再編集がされたものになります。
場所は渋谷アップリンク
 
2015年に同じアップリンクで上映されていて半年に渡るロングランだったものの観られずじまいで(半年もやってたのに…)、本日ようやくです。
公開後、音楽ファンの間ではムーブメントのようになっていたので、観た方もご存知の方も多いと思います。
 
キューバの音楽ドキュメンタリー映画というと2000年に公開されたヴィム・ヴェンダース監督の『ブエナビスタ・ソシアルクラブ』が金字塔ですよね。やっぱり。
今日のアフタートークでその話が出て、あらためて、「もう16年も前なのか…」とちょっと感慨深いものもありました。時の速さたるや。
 
この『Cu-Bop』がスポットを当てるのはキューバのジャズ。キューバのサックス奏者、音楽家のセサル・ロペスとニューヨーク在住のキューバ人ピアニスト、アクセル・トスカを中心に映画は構成されています。
と言っても、他のミュージシャンが脇役かというとそんなことはなく、インタビューも含めとても丁寧に、丹念にされていて、その生き方や姿を感じとることができます。
 
僕自身キューバ出身のジャズミュージシャンで言うとピアニストのゴンサロ・ルバルカバなど、よく目にするミュージシャンしか知らず、実際のところキューバでジャズがどのような環境で、どのように育まれているのかというのはなかなか知る機会がありませんでした。
情報量としてはやはりアメリカやヨーロッパ、そして日本が圧倒的です。
 
 
キューバでいったいどのようにキューバの音楽的土壌とジャズが混ざりあっているのか、今回記録されたのがたとえ一端であっても、全体を感じられるような、ありのままの景色を見ることができました。家のガレージで行われるセッション、洗濯をしながら腰を踊らす家族。
通りに音が溢れだす、日本ではそう見ることのない光景。
 
テクニック的に言えば、やはりリズムがものすごい。そしてタッチの強靭さ。ドラムやパーカッションはもちろん、ロランド・ルナのピアノソロはスウィングでありながらも独特の細かいビートを感じとれる、まさにキューバ人でしかなし得ないプレイの連続。
演奏が終わるたび思わず拍手をしてしまいそうになる、見事なライブ感が映画の中に詰まっています。
 
 
キューバ・ジャズと一口に言っても、アクセル・トマスのようにニューヨークで活動しているのとセサル・ロペスのようにキューバで活動しているのでは音楽的な比重が異なっていて、その対比も非常に興味深いものでした。
 
 
そしてこのドキュメンタリーでキューバ・ジャズの向こうに見るのは、というかむしろそれが本質なんですが、それはやはりアメリカとキューバの国交、政治的な壁です。
ニューヨークは音楽をやっている人間には憧れの地。でもそこへ行くには祖国を捨てなければならない。その選択がどれだけシビアで、困難なことか。
キューバの人が常に背負う重い、重い選択。
 
この1年でもめまぐるしく、急激に変化しているアメリカとキューバの関係。
その歴史的な転換期を切り取っているという意味でも、音楽ドキュメンタリーにとどまらない作品です。 
 
 
今日は上映後に監督の高橋慎一さんとディスクユニオン・ジャズプロデューサーの塙耕記さんによるアフタートークがありました。 
そちらで日本上映版とアメリカ上映版との違いについて聞くことができました。
 
変更点は
 
・ロランド・ルナのMoon Riverピアノソロがフルサイズになった
・セサル・ロペスバンドとアクセル・トマスのセッションシーンが追加された
・ルケス・カーティスのインタビューがカットされた
 
というところが時間尺として大きな部分ということでした。
他にも日本では気にならない部分(いわゆる国交、政治的にセンシティブな部分)や、日本人には必要だけれどもアメリカ人にとっては特に説明などが必要のない部分など細かいところで変更がされているそうです。
 
そしてDVD、CD、レコード全て異なったマスタリングがされているという話も出ました。このご時世、そこまでこだわるのは(なにより予算的に)本当に難しくて、発売元のディスクユニオンの姿勢に心打たれます。
 
アフタートークでは他にもジャケットの違いについてなど盛りだくさんの内容でした。
 
 
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今日は来場者全員にジャレ・オーガニックのザクロジュースがプレゼント。
なんだろう?と思ったらオルケスタ・デル・ソルのやまもときょうこさんから上映を記念して全員にプレゼントしたいとのことで、なんとも大盤振る舞い!
濃厚で自然の風味豊かなザクロジュース。おいしかったです。
 
それでは、この映画がますます広がることを願って。
 

kamitalabel.blog.fc2.com

 

キューバップ OST <CD>

キューバップ OST

 
キューバップ OST <LP> [Analog]

キューバップ OST [Analog]

 

 

ブエナ★ビスタ★ソシアル★クラブ  Film Telecine Version [DVD]
 
Buena Vista Social Club

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【意外と知らない】iTunesはハイレゾ対応している。

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最近ほんと「ハイレゾ」という言葉をよく聞くようになりました。

部分的にではありますが、iTunesハイレゾに対応していたのでそれについて書きます。

確認環境

MAC OS 10.11.4 El capitan

iTunes 12.3.3.17

 

昔は違った

以前Mr.Childrenの『REFLECTION』のことを書きました。

mureader.hateblo.jp

その時はiTunesで24bit/96kHzの再生できないからなーと特に考えもせず音楽制作用のDAW(波形編集ソフト)に読み込んで聴いていました。

以前のiTunesだとiTunesの環境設定やベースとなっているQuickTimeの設定を変えたりということが必要でした。いかんせん自分の環境がOS 10.8とかだったりでちょっと古かったんですよね。

最近OSをEl capitanにアップデートして、OSについてとかアプリまわりを検証していました。そんな時に気付いた。iTunesで24bit/96kHzが再生できるようになってる!しかもデフォルトで!

 

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iTunesでファイル情報を見てみると、確かに24bit/96kHzのまま。

特に内部でファイル変換なども行われていないようです。

 

最高ビットレート・サンプリングレートは?

じゃあどこまで再生できるんだろう?と思って少し検証しました。

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自分の環境で作れるオーディオ・ファイルが32bit/192kHzまでだったので、それでやってみたところ、無事再生可能でした。

 

注意点

FLACなど他の形式のハイレゾ音楽は聴けない

無理だろうな、と思いつつハイレゾの代表的なファイル形式のひとつであるFLAC形式のデータを読み込もうとしましたが、やっぱり無理でした。

右クリックメニューで「iTunesでは"〜〜.flac"を開けます」みたいに表示も出ますが、無理です。

FLACDSDで再生する場合はやはり他の対応アプリを選ぶ必要があります。

 

・Audio MIDI設定の変更と限界

ビットレートやサンプリングレートが高いファイルを再生する場合、Audio MIDI設定でビットレートとサンプリングレートの設定を変更する必要があります。変更しなくても再生自体はされますが、正しく再生されてはいません。出口のところで変わっちゃってるってことですね。

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例えば内蔵出力の場合(MACの内蔵スピーカーでハイレゾ聴く人がいるとは思えませんが...)、設定できる最高値は32bit/96kHzまでです。

 

 

iPhoneでは聴けない

iPhoneのミュージックアプリでApple Musicに加入している場合、iCloudミュージックライブラリというもので自動的にファイル変換がされるんですが、iCloudミュージックライブラリが対応していないので不適格となり、同期できません。まあそもそも変換される時点で音質落ちちゃうんですけど...。

iPhoneハイレゾはやはり他の方法を考える必要があります。

 

 

最後に

部分的なところではありますが、ハイレゾに対応してくれているというのはありがたいと感じました。知っている人は知っていることだったり常識なのかもしれませんが、検索してもこのことを書いている記事などは見つからず、昔のものや他の方法ばかりだったので。

実際、ハイレゾ環境を用意するのって現代の生活だとやっぱりお金がかかりすぎてなかなか大変です。

この記事がなにかお役にたてば幸いです。

 

他にもApple Musicでのトラブルなどをまとめた記事があるので、よかったらご覧ください。

 

mureader.hateblo.jp

 

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チック・コリア&小曽根真『CHICK&MAKOTO-DUETS-』を聴く。

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チック・コリア小曽根真のデュオ・ツアー開催を記念としてリリースされたコンピレーション・アルバム『CHICK&MAKOTO-DUETS-』。

発売は2016年4月20日

 

収録内容はコンピレーション・アルバムとあるように新録ではなく過去の録音で構成されたものとなっています。

小曽根真の2002年作『Treasure』のレコーディングの際に録音されていたものの未発表となっていた4つのインプロヴィゼーション曲を軸に、『Treasure』から再収録の「La Fiesta」、2011年にリリースされた東日本大震災のチャリティー作品『Live&Let Live -Love For Japan』の収録作がまとめられています。こちらの曲はヴィブラホン奏者、ゲイリー・バートンが参加した「Blue Bossa」、同じくゲイリー・バートンとチック夫人のゲイル・モラン・コリアがヴォーカルで参加した「Summertime」の2曲。

ボーナス・トラックには小曽根真がNO NAME HORSESで演奏したチック・コリアの「Crystal Silence」を収録。全8曲の構成。

小曽根真オフィシャルサイトのNEWSでは本編7曲目に「Pandora」との記載がありますが、こちらは収録されていないので注意。どういった経緯かは不明ですが、この曲は『Treasure』に入っているのでそちらで聴くことが可能です。ちなみに曲順も異なります。

 

インプロビゼーション曲は1、3曲目が小曽根真で始まり、2、4曲目がチック・コリアで始まっています。小曽根真自身が以前からチック・コリアの影響を大きく受けていたということもあり、音色やタッチなども近しい部分が感じられます。

正直、どちらから始まるかという情報を知らない段階ではパッと聴きどちらがどちらか判別するのが難しかったです。二人の音色に関する知識が自分に足りていないという、つまり聴いてる自分がダメなんじゃん、とも思い反省しましたが、音楽として深く溶け込んでいる二人の音色が素晴らしいと思いました。

 

小曽根真の音ははばたき飛び立つようで弱音はショパン的で美しく、チック・コリアのスパイシーさ保ちつつ造形のバランスがとれた音はやはりゆるがないものがあります。どちらかというと、小曽根真の音色は底から高い位置で鳴っていて、チック・コリアは低い位置から鳴っているように感じます。

 

こういったデュオ、しかもジャズ・ジャイアンツと言われるピアニストと日本人のピアニストが共演する場合、日本人的には先に序列をつけて聴いてしまう向きもあるかもしれませんが(チックと上原ひろみのデュオのようにそう感じてしまうケースもありますが...)、それはもったいないです。まさに二つのオーケストラが融合し、さらなる音楽の情景を見せてくれる、そんな作品です。実際には音がぶつかっている部分もあるそうですが、僕には全くわかりませんでした。よくもまあここまで混ざり合って音の流れが見事な織物、テクスチュアになっているなっているなと。

どんな音楽でもそうですが、両方のピアニストが高い次元でなおかつ対等な関係でないとこれは実現できません。

対照的なピアニストが共演するのもワクワクしますが、こういった共通する属性を持ったピアニストが一緒に奏でるというのは音楽にさらなる大きさや広さ、深さをもたらし、奇跡だなと。

 

できることなら新録も何か聴きたい!と思うところではありますが、それはデュオ・ツアーで今の二人を聴くというのがやはり一番なのかと思います。

4/19現在サントリーホールのチケットはまだあるようです。

 

熊本の地震の中リリースとなった本作。『Live&Let Live -Love For Japan』の曲が再収録されていることもあり、改めて考えさせられるというか、想うものがありますね。

 

小曽根真 Makoto Ozone Official Website

Chick & Makoto -Duets-

Chick & Makoto -Duets-

 
リブ・アンド・レット・リブ~ラヴ・フォー・ジャパン

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Two

Two

 

 

 

 

Margaret Chaloff(マーガレット・チャロフ)探訪その1

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Margaret Chaloff(マーガレット・チャロフ)が気になって、調べ始めている。

ピアノ教師としてとても優れた功績を残している。

アメリカのピアニストJulius Chaloff(ジュリアス・チャロフ)の奥さんで旧姓名はMargaret Stedman(マーガレット・ステッドマン)。ジャズ・サックス奏者Serge Chaloff(サージ・チャロフ)の母親。

 
その功績がどういったものか、というところなんだけど、教え子たちの名前を見るだけで唖然とする。
キース・ジャレットチック・コリアハービー・ハンコックジョージ・シアリング、ケニー・ワーナー、マルグリュー・ミラー、スティーブ・キューン、秋吉敏子などなど錚々たる、まさにジャスの巨人たち、そんな面々のピアニストにピアノを教えている。すごいよね、これ。
マーガレット・チャロフ自身はクラシック出身でロシア系のピアノテクニックを指導していたらしい。おそらくジャズの理論などそういったセオリー的なものではなく、ピアノの鳴らし方や体の使い方とかそういったピアノを弾くときの基になる部分や、クラシックなんじゃないだろうか。
 
指導としてはスピリチュアルな側面もあったらしいけど、どういったテクニック指導をしていたのかとか、スピリチュアルな部分をどうピアノの音色に反映していくのかとか詳しいところがわからない。
脱力、歌うように、禅的な、というあたりはピアノを弾く上で当然通る道なのだけど。
 
こちらのフォーラムにインタビューの転載が投稿されている。
ここではマーガレット・チャロフについてジャズピアニストのキット・ウォーカーが質問に答えている。キット・ウォーカーはマーガレット・チャロフが亡くなるまでの7-8ヶ月教わっていたという。これだけで、かなり精神的な部分や、アレクサンダー・テクニークとは異なるがそういった体の使い方といった根源的なものを重視した指導を行っていたということが伺える。
 
そして友人から教えてもらったバークリー音楽院が出版しているピアノテクニックの本があり、Stephany Tiernanというバークリーの教授がマーガレット・チャロフのアプローチを発展させているという。

www.berkleepress.com

 

ATNあたりで日本語訳されていないかなと思ったけれど、ざっと調べた感じされていないっぽい。なのでひとまず英語版を注文してみた。

 

Contemporary Piano Technique: Coordinating Breath, Movement, and Sound

Contemporary Piano Technique: Coordinating Breath, Movement, and Sound

 

届いたら、読みつつまた何か書ければいいなと思う。

マーガレット・チャロフはボストンで有名なピアノ教師だったということなので、バークリーともつながりが深いのだろうか。バークリーに行ってないのでその辺りもよくわからない。

どなたかバークリーに行った方でご存知の方、情報いただけると嬉しいです。

 

 
ハンコックが最初に参考、影響を受けたのがジョージ・シアリングというのを考えるとその師であったマーガレット・チャロフに師事するというのは自然なことだろうし、すごく重要な存在な気がする。
 
それぞれの自伝にも詳しい記載があったりするのだろうか。
 
 
引き続きしばらく気にかけつつ追ってみる。
その1と書きながらその2あたりで終わってしまうかもしれないけれど。

 

ハービー・ハンコック自伝 新しいジャズの可能性を追う旅

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キース・ジャレット インナービューズ―その内なる音楽世界を語る

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ジャズと生きる (岩波新書)

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