音声レベル運用基準を考える。
最近ラジオ番組のBGM制作をしました。
ラジオ番組のBGM制作って何気に初めてだったんですが、放送業界の音声レベル運用基準というのを学ぶいい機会でした。
テレビだと最近では-24LKFSという平均ラウドネス値というのが統一されていて(ヨーロッパなんかは-23LKFSだそうです)、正直普段の音楽制作やらなんやらの身からするとなんじゃらほい?となってしまうのですが(そもそもLKFSってなんですか?みたいな)、わかりやすいところで、以前はテレビ番組を見ててCMになると突然音が大きくなってボリューム下げる、みたいなことがよくあったと思います。
CM制作側は、より音を大きくして視聴者の気を引きたいという思惑がある反面、視聴者には耳障りだし面倒という問題がありました。
結構誰でも経験があると思います。
なんで急に音でかくなるんだよ!うるせー!みたいな。
Webで言うところのUX(ユーザーエクスペリエンス)を著しく損なう、ということですね。
最近ではこの音声レベル運用基準というものが改められだいたい3年前くらいからはあまり気にならなくなったと思います。
FKLSというのは番組なら番組、CMならCMのトータルでのラウドネスを平均した値です。
これを適用することによって、以前より極端なピーク、無理矢理な音圧をうまく防ぐことが可能になったようです。
音楽で言うところのピーク限界値は今も昔も(どのくらい昔かは知らん)0dBFSが限界ですが、テレビは-1dBTPだそうです。トゥルーピーク値ね。
音楽でもよく出てくるトゥルーピーク値を-1と設定しているところが中々いい判断だなと思います。もうぜってー歪ませねーぞ、という意気込みを感じます。
ラジオはどうかというと、これは適用外です。テレビとラジオは全く異なるのでそのためなのかなと思います。
ラジオの基準は0VUで-20dBFSです。以前のテレビ基準ですね。
ラジオのテスト信号なんかを見るとちょっと感動するんですが、バチっと-20dBFSです。
ただ、それだといかんせん小さく聴こえるので-20dBFSをオーバーしつつも0VUをキープするみたいなことをします。
これがつまりテレビで問題になってきたってことですね。
実際に感じる音の大きさと測定値が一致しない、読み取り誤差がある、平均レベルが測定できない、など。
ラジオは比較的厳格、というか、健全にこの基準がいい形で守られているんじゃないかと思います。
これからどうなっていくのかはわかりませんが。
iPodが登場してプレイリストで色んなアーティストの音楽をまぜこぜにすると次の曲がすげーデカい、とかなんか音小さいみたいなことがあったと思います。
最近ようやく落ち着いてきたのかな、とも思いますが、大森靖子なんかを聴くとまだまだ終わらない印象も受けます。測定とかしてないけど。
でも逆に、最低限の音圧というのも必要ですし、大事だと思います。
LKFSみたいに音楽も基準が出来ればいいんですが、難しいだろうなと思います。
クラシックのようにダイナミクスが激しい音楽もあれば、曲を通して静かな音楽もある。
基準を設けるとおそらく基準外のものが多すぎてしまうし、過去の音楽をどう扱っていくのか、というのもあるでしょうし。
聴く人が音楽以外の部分に気を取られることなく、純粋に音楽を楽しめる、というのが本来の形だと思っています。
テレビ音声レベル運用規準はこちらがわかりやすいかと。
テレビCM素材搬入基準「音声レベル運用規準」の適用について | JAAA 一般社団法人 日本広告業協会
こちらのサイトにオーディオテスト信号があります。
日本ポストプロダクション協会
http://www.jppanet.or.jp/documents/audio.html
ちなみに今回はK-Systemというのが自分の作業の中で役立ちました。
(海外サイト:英語)
K-Systemを備えているDAWというところで、今回使用したのはPreSonus Studio Oneです。
プロジェクト画面のファーストビューにあるので便利でした。
iZotopeのInsightなど、メータープラグインにもだいだい備わっているんじゃないかなと思います。
Insight単体だと割高ですが...。