それはただの誘拐事件ではない『その女アレックス』を読む
ただの誘拐事件ミステリーかと思って読み始める。
その展開のスピード、スリルに飲み込まれ、あっという間に誘拐事件はクライマックスを迎える。その時、これはこの物語の始まりにしかすぎないのだと知ることになる。
その女アレックスには、誰にも言えない秘密の目的があった。
これ以上書くとネタバレになってきてしまうのでやめますが、非常に面白い作品です。
主人公のカミーユ・ヴェーヴェルン警部の描写など、短い文章でまるでそういう人がそこに生きて、息づいているのがわかるような描写力に驚きます。
まるでひとつのサスペンス映画を読んでいるよう。
「このミステリーがすごい!」他あらゆる賞を総なめにしなんと6冠。
現在60万部も売れているということで読んだ方も多いでしょうが、今までのミステリーという概念を打ち破る(それもしっかりとミステリーの流儀に則って)、とても深く衝撃的な作品です。
ミステリー好きじゃない人が読んでもいいけど、ミステリー好きの人にこそ読んでほしい作品。
誘拐、連続殺人、そして最後に待つトリック。
自分がその境遇に置かれたとき、どうすればいいのか、考えさせられる悲痛さ。
1度読んでも、また読みたくなる。そんな1冊です。