Franck Avitabile『Short Stories』を聴く
だんだんと佳境に突入してきたFranck Avitabile(フランク・アヴィタビレ)のディスクレビュー。
今回は2006年にリリースされた『Sort Stories』にスポットを当てたいと思います。
この作品は前作『Just Play』と同様にピアノソロという形態がとられています。
今までのアヴィタビレの作品リリースの流れからすると少し不思議な立ち位置で、『Just Play』の壮大なピアノソロからのスピンオフ作品とでも言えばいいでしょうか。そんな印象を持ちます。
タイトルの通り、短い曲が集められており、長いものでも「Medley」の4分30秒と、4分を超える曲は3曲しかなく、短いものでは「Rolling」の1分27秒と、いわゆる小品集といった様相です。
『Just Play』の記事に書いたような「美」の追求はこの作品でも踏襲されていて、アヴィタビレ自身もそれに言及しています。
I’m trying to get a sound as clear and beautiful as possible.
自分が培ってきた、影響を受けてきたBud Powell(バド・パウエル)、Keith Jarrett(キース・ジャレット)、Chick Corea(チック・コリア)、そしてMichel Petrucciani(ミシェル・ペトルチアーニ)を土台にクラシックのDebussy(ドビュッシー)、Ravel(ラヴェル)、Brahms(ブラームス)、Chopin(ショパン)などを織り交ぜたような、ジャンルレスの美しい音楽。
短いながらも味わい深い演奏が込められており、アヴィタビレのピアニズムを素直に感じることができます。
それと同時に、『Just Play』と比べると、かしこまらずに気軽に(それこそBGM的に)聴くことのできる良盤です。
個人的にはちゃっかり「Medley」で「Rêverie」「Facin' Up」「Miss Laurence」「August In Paris」と大好きな曲をやってくれているのが嬉しいです。
静かになりたい時、静かにその時間を慈しめるような素敵な小品集。オススメです。
Franck Avitabile『Short Stories』
1. Arabesque
2. Childhood Memory
3. Reverso
4. Twisted Nerve
5. Cat Tale
6. The Third Eye
7. French Song
8. Medley(Rêverie-Facin' Up-Miss Laurence-August In Paris)
9. Little Monkey
10. Rhapsody
11. Inside Out
12. Rolling
13. There Is No Greater Love
14. Musings
15. Shortly After Midnight
16. The Twilight Hours
17. On Walking
18. Over The Rainbow
Franck Avitabileのサイトはこちら。
他にもFranck Avitabileのディスクレビューを書いています。
どの作品も素晴らしいので、ぜひ読んでみてください。