MUREADER’s blog

DAW、プラグイン、音楽機材などDTMの話が多めです。

【新海誠】君の名は。感想は。

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興行収入100億円突破ということで、ご覧になった方も多いと思います。

レビューや分析をされている方も多数いらっしゃるので、単に感想文、雑文です。

ネタバレありますので、もし未見の方はご注意を。

 

映像の美しさは。

なによりも言の葉の庭の映像が大好きなんですが、映像の美しさというのはやはり群を抜いています。特に雨や水の表現。といっても映画館だとやはり少しボヤけてしまうのでブルーレイなどで観た方がその美しさはより光ってくるのだと思いますが。特に肝心の光の美しさというのは弱まってしまったかなと感じました。

それでも観て直感的に「美しい」と思える映像。

 

君の名は。のための歌、音楽は。

RADWINPSが担当していると知るまで、完全にバンプ・オブ・チキンだと思い込んでいましたが(ほんとすみません)、映画のために作られた歌はこうもフィットするものかと驚きました。歌が、音楽がきっかけとなって動き出す物語の心地よさ。

RADWINPSの壮大なMVとして見ても素晴らしいのではないかと。

 

新海誠設定てんこ盛り(は。)

これは勝手なイメージなんですが、クセのない普通にかっこよい男性とかわいい女性、男女入れ替え、タイムリープ、男女の純愛・悲恋、職人技術要素、そして音楽へのこだわりなど、今までの新海誠設定やいわゆるベタなSF的要素、よくこんな詰め込んだなというくらいの新海誠ワールド、という印象でした。

突飛だったり、ご都合超展開すぎたり、話の流れとしてギクシャクした印象は否めないものの、持っていくところはちゃんと持っていってくれる、というのは2時間の長編かつ大規模上映という点では非常に重要だと考えます。

 

あまり気持ち悪くなかった。(もうやめます...)

新海誠作品というと、「完全なる純愛、そして悲恋」という印象を持っていて、それは今回もつらぬかれているのですが、これまでの作品はちょっとやりすぎというか、「さすがにそれはちょっと気持ち悪いんでないかい」というところがありました。割と。

今回の作品も、ある程度歳をとってしまっていると、若干ゾワゾワするシーンはあるものの、幾分抑えられていて「純な子達だなー」程度に収まっていた印象です。

 

バランスの良さ、そして意外とニッチ?

パッと見の映像の美しさ、話のわかりやすさ、アクやクセの少なさ、メリハリのある設定と展開、歌の効果と、全体的に見やすくまとまっていて、行間を読む必要がない作品でした。

 

これって実はすごい大事で貴重なことだなと気づかされたんですが、アニメというとすぐオタクと言われてしまったり、扱いをうけてしまう傾向があり、そうでないメジャー映画だとジブリのように常に考えさせられる(楽しむ要素にどうしても行間を読むという行為が含まれる、つまり頭を使う)ということがあったり、細田守作品だと人間同士の物語ではなかったりします(サマー・ウォーズとかは別として)。

他にはディズニーやピクサーなどもありますが、デフォルメ感は常にあります(デフォルメ感のないアニメなんてあんのか、というのは置いといて)。

そして原作やテレビ版がない、オリジナルアニメ映画だということ。原作を知っているか知らないかで二の足を踏む必要がない。あれこれ考えて構える必要がない。

 

単純に人間の男女が純な恋愛をするオリジナルアニメ、しかも映像や音楽が第一印象で間違い無くハイクオリティだと誰が見ても聴いてもわかる、物語も非常にわかりやすく、適度に笑いもある(このあたり、自分はジブリ的なクッションを感じて、うまいなと)、まさに多くの人にわかってもらえるメジャー作品だと思いました。

映画が終わって周囲を見渡すと涙を流したり、人によっては泣きじゃくっている人が多かったのもそれを示しているんじゃないかと。

とても失礼な言い方をすると、「普通」なんです。でも、それは多くの人に望まれていた「普通」なんじゃないかと。そしてその「普通」が最近あまりなかった。

 

作品性や個性、オマージュや底の厚さなど重厚なものが好きな人にはなかなか受け入れ難いかもしれません。そして恋や人生の甘いも酸いも経験してしまっている人には「なにこの茶番...」と思われるかもしれません。

ただ、個人的にはそういう頃を懐かしく感じ、トータルで観ていて心地よく清々しい作品でした。

 

というわけで

映画は相互作用だと思っていて、「君の名は。」のおかげで、例えば重厚な作品や対極に位置するような作品もまた楽しめるだろうし、よりじっくり観られる、そういう意味でも観てよかったですね。

 

いい映画でした。

 

 

 

 

君の名は。 Another Side:Earthbound (角川スニーカー文庫)
 

 

 

君の名は。(通常盤)

君の名は。(通常盤)

 

 

 

 

 

 

 

ほしのこえ

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