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MUREADER’s blog

MUREADER(MUSIC+READER)は音楽を中心に、ライトに深く読み解くブログです。

ドルフィンという音楽

音楽 音楽-音楽紹介

「Dolphin」という曲がある。

書いたのはルイス・エサ(Luiz Eça)というブラジルの作曲家・アレンジャー・ピアニスト。ブラジルというとついアントニオ・カルロス・ジョビンに目がいきがちだが、ルイス・エサもまた優れた音楽家だ。

 

学生の頃、ビル・エヴァンスの『From Left To Right』に収録されていた同曲を聴いて、メロディーの美しさにコピー譜まで作ってしまった。そんな「Dolphin」を収録した作品が4枚あるのでご紹介したい。

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1枚目は作曲家本人による演奏。TAMBA 4というルイス・エサが組んでいた4人グループでの演奏。『We And The Sea』に収録されている。録音は1967年。

当時のブラジルのサウンドというのはこういう雰囲気だったのだろうなと感じる、コーラスやフルートの入ったボサ・ノヴァともサンバともつかないがブラジルらしいリズム感の中、スローなテンポで演奏されている。ブラジル・メロウとでも言ったらいいのかな。

まさにジャケットのような、夕暮れ、黄昏時の海を感じる。

収録されたものとは異なるが、ルイス・エサ本人が演奏しているライブ動画がある。

ちょっとジャズより?な趣。

www.youtube.com

 

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2枚目は先述したビル・エヴァンスBill Evans)の『From Left To Right』。
録音は1969年11月から1970年5月にかけて。
このアルバム自体、ビル・エヴァンスエレクトリック・ピアノなどを用い、実験意欲溢れる作品となっている。レコーディングの期間が長くとられているのもそれを表しているのではないだろうか。ビル・エヴァンスの中ではどちらかというと異色作に置かれることが多いが、全編渡って素晴らしい名盤だ。
ここには「The Dolphin」という冠詞がついた形で収録されている。
興味深いのはBefore、Afterと2つのバージョンが続けて収録されていること。
Beforeはピアノ、エレピ、ドラム、ギター、ベースといういわゆるベーシックな形。
Afterはそこにパーカッションやフルート、そしてストリングスがダビングされている。
それによりおもしろいように景色が変わる。Beforeではエヴァンスがブラジル音楽をやっている、というまさにその通りなのだが、Afterになり追加アレンジが施されると景色がルイス・エサのそれへと変貌する。
エレピのソロも印象の変化がおもしろい。同じくBeforeでは眺めのエレピソロという形なのだが、同じ演奏でもフルートなどが入ることで、Afterではエレピソロが2パートに分かれるような形で前半部は他楽器との展開部、そしてその後エレピソロになるという印象になる。
それを意識してアレンジに取り組んだのだろうが、ビル・エヴァンスの狙いの見事さに脱帽する。
こちらの動画ではBeforeを聴くことができる。まだ入手可能な作品なので、ぜひ両方聴いていただきたい。
 
 
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3枚目はジャズサックスプレイヤー、スタン・ゲッツStan Getz)の『The Dolphin』。
録音は1981年。
Getz/Gilberto』など、ブラジル音楽へのアプローチが多かったスタン・ゲッツがこの曲を取り上げるのは自然なことだろう。
先述の2枚については暗いとは言わないまでもどことなく夕暮れや湿度を感じる演奏・録音だったのに対し、このスタン・ゲッツの演奏は青い海と浜辺を感じる、爽やかな風が吹くような心地いい演奏だ。
多いにアドリブをとるような形で、ジャズのフィールドにこの曲をもってきたという印象。海風感じる場所でこんなライブが聴けたら最高だろうなと会場の拍手を聴きながら思う。
この盤は残念ながら今では中々手に入りにくい。新品で探すのは難しいので、中古を探すのがよし。
この動画で聴くことができる。


www.youtube.com

 

f:id:hipnao4ri:20151219015113j:image
そして4枚目。
綺麗な割に知られていない曲だからみんなやりたくなるんだろうな。
これはジャッキー・テラソン(Jacky Terrasson)のトリオによる『SMILE』。
ここでも冠詞を加えて「The Dolphin」となっている。オリジナルは「Dolphin」なのに不思議だね。英語のルールってやつですな。
演奏は純然たるピアノトリオ。美しい。
昔この曲をセッションに持っていってやろうとしたら他のメンバーに「これは初見では無理です。」と言われ泣く泣く断念した思い出が。
やりたいな。
 
 
他にもルイス・エサのトリビュートなどもある。
これにもアレンジが加えられているが、趣はエンニオ・モリコーネの映画音楽のよう。
 
久しぶりにいろんな「Dolphin」を聴いて、ますます好きになりました。
 

 

We & The Sea

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From Left to Right

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フロム・レフト・トゥ・ライト+4

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ザ・ドルフィン

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