Franck Avitabile 『Lumières』を聴く
Franck Avitabile(フランク・アヴィタビレ)から届いた内の1枚、『Lumières』。
これは『In Tradition』でのデビュー前、1997年の作品。
Michel Petrucciani(ミシェル・ペトルチアーニ)と密接に関わりのあるアヴィタビレですが、この時既にベースで兄弟のLouis Petrucciani(ルイ・ペトルチアーニ)とレコーディングを共にしています。ドラムはThomas Grimmonprez(トーマス・グリモンプレ)。
デビュー前の作品であるため、Franck Avitabile作品の中でも入手がとりわけ難しいと思われていた、というか難しいと思っていた作品ですが、現在アヴィタビレ本人のサイトから購入できるようになっています。
念願だったこの『Lumières』、若かりしアヴィタビレを存分に堪能することができます。
なにより貴重なのが、その後の作品でも1度もとりあげたことのないペトルチアーニの曲を演奏していること。曲目は「Training」。
なぜ取り上げていないかは、きっとペト曲はペトがやはり一番で、曲の表現もアドリブも含め、すべてがペトルチアーニのカラーで出来上がっていて、それ以上のものはない、というのがあるからかもしれません。
実際この「Training」についても、単純に言ってしまえばペトルチアーニの方が圧倒的に良いです。ただ、アヴィタビレがペトの曲を演奏しているというのは特別で、初めてアヴィタビレを聴く人が「ペトに似てる」ということが多い中、ピアニストとしてのとても良い比較材料になるんじゃないかなと思います。
私自身は、アヴィタビレとペトは共通する部分がありながらも、全く毛色の違うピアニストだと思っているので。
そして嬉しいのがその後の作品でも取り上げられている「La Valse de Laurence」「Trois Gros」「Kenny」などのオリジナル曲の原型を観ることができること。
「La Valse de Laurence」とかキーが違ったんですね。
他にも『In Tradition』でフューチャーされるBud Powell(バド・パウエル)の作品、特に「Tempus Fugit」がここで採用されていること。『Lumières』から『In Tradition』へとつながる音の流れ、アヴィタビレのピアニストとしての経緯を感じられます。
他にもその後の「August In Paris」などに見られるような少しフリー感のあるバラード「Greenwich Village」など、まだオリジナルの原石であるアヴィタビレを堪能できる1枚です。彼の根本に流れるものは変わらずずっとあるんだなと思える作品。
こちらはアヴィタビレ本人のサイトで購入することができます。
英語かフランス語のみとなりますのでご注意ください。
Franck Avitabile『Lumières』
1. So Sorry Please
2. La Valse de Laurence
3. Greenwich Village
4. Training
5. Round 'Midnight
6. Trois Gros
7. Carnival
8. Le Joueur de Piano
9. Eloi
10. Lumières
11. Kenny
12. Solalerie
13. Morlok
14. Tempus Fugit
15. Les 13 Mercenaires
他にもFranck Avitabileについてディスクレビューを書いています。
よろしければ。