MUREADER’s blog

MUREADER(MUSIC+READER)は音楽を中心に、ライトに深く読み解くブログです。

見失っていた本質:『WD Web Designing 2016年5月号』を読む

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WD Web Designing 2016年5月号

マイナビ出版から偶数月に発売されているウェブデザイン雑誌、『WD Web Designing』。ウェブデザインにとどまらず、Webにまつわるあらゆる事柄を扱っている雑誌です。今回のテーマは「Web戦略のプロが教える問題解決法100」。

その中で特に学びになった、というかハッとしたことがあったのでそれを取り上げます。

 

ケーススタディ4:ペルソナ(カトウファームウェブリニューアル)

ここで取り上げられているのは米農家のカトウファームさんとウェブ制作会社LIGさんの案件。案件内容はカトウファームさんのウェブサイトリニューアル。

LIGさんはBLOGの運営を非常に積極的にやられていて、ユニークな文体にためになるトピック満載の記事で、ご存知の方も多いはず。毎日読むし、毎日ブクマくらいの勢い。

 

福島の米農家 カトウファーム

katofarm-f.jp

 

株式会社LIG

liginc.co.jp

 

自分は仕事でWebに関わる時があり、趣味でサイトを作ったりということもあります。

そんなこともあってWebの新しい話題やデザイン、技術などはなるべく目に入れるようにしているのですが、あるサイトのリニューアルをしようという時にそういった比較的新しい技術やデザインを取り入れようと考えていました。モダンな感じで。

 

ただ、この案件の記事を読んで自分が根本的なことをすっかり忘れていたことに気づかされました。

その人自身のパーソナリティ。つまりは人柄や性格といったその人自身の本質的な部分。デザインや技術が先行するのではなく、あくまでそういったパーソナリティの実現から始めるということの大切さであり、そのためのデザインであるということ。

 

ウェブの世界には本当に美しいサイトや、モダンなもの、洗練されたものがたくさんあって、当然なんですがそこに魅了されます。いざそれを自分の領域で活かそうとして、気がつくとそもそもなぜ美しいサイトでなければならないのか、モダンでなければならないのか、というところをおろそかにしてしまいます。

魅せられるあまり、本質を見失っている。

なにより気をつけなければいけないことのはずなのに、無意識のうちにドツボにはまっていました。

 

カトウファームさんの人柄、性格をなによりも反映したLIGさんのサイト制作に心打たれました。

正直LIGさんのブログは割とラフな、くだけた、もっというとふざけた感じのブログなので、そういう会社なのかなと思っていました。(ごめんなさい)

すごく誠実で真摯な制作会社なんだなと印象も変わりました。(ほんとごめんなさい)

ただ、「カトウファーム」での検索順位が1位ではないので、Schema.org組んであげたりしたらいいんじゃないかなと思いました。(ほんとほんとごめんなさい)

 

 

『WD 5月号』は他にもWeb戦略における様々な問題の解決法、というかそのヒントがたくさん盛り込まれていて、何かひとつはあてはまるものがあると思います。

事例として掲載されている企業も実際に仕事で関わったりすることがあると「この会社いい会社だな...」とつくづく思う企業ばかりなので、本質的だと思います。

 

日々学ぶことばかりですねー。

 

Web Designing 2016年 5月号

Web Designing 2016年 5月号

 

  

Web Designing 2016年5月号 [雑誌]

Web Designing 2016年5月号 [雑誌]

 

 

 

Web制作・運用現場のための 「課題解決」の教科書

Web制作・運用現場のための 「課題解決」の教科書

 

 

 

【考える】ベビーメタル、バラカン氏の「まがい物」発言のニュースについて

この投稿について

ベビーメタルとピーター・バラカン氏についての一連のニュース、意見、議論を目にして、昨今よく見る炎上と同じ現象が起きています。

多少音楽に関わる身として、単に賛成・反対や、批判などではなく、このニュースから考えられることが何かあるんじゃないか、という思いがありました。

流れを振り返りつつ、自分なりに考えてみたいと思います。

ちなみに私自身の立ち位置としては

 

・特にベビーメタルのファンではない

・特にピーター・バラカンのファンではない

・みんな仲良くすればいいのに、と思っている

 

といった感じです。比較的フラットにこのニュースを眺めた人間と言えるでしょう。

では、簡単に時系列を追いつつ、進みます。

 

 

ベビーメタルは「まがい物」?

先日ピーター・バラカン氏によるベビーメタルは「まがい物」という発言が、大きなニュースとなり、様々な意見、議論を引き起こしました。

headlines.yahoo.co.jp

記事にもある通り、BABYMETALの最新アルバム『METAL RESISTANCE』がアメリカのビルボードでのアルバム総合ランキングで39位となったことを受けて、TOKYO MX「モーニングCROSS」でバラカン氏が「世も末だと思っています。」と語り、その後Twitterにおいて「番組の前からメディアを通じて少しは耳にしていましたが、ぼくは全く評価できません。先入観ではありません。あんなまがい物によって日本が評価されるなら本当に世も末だと思います」と書いたことに端を発します。(5/1現在ピーター・バラカン氏のTwitterアカウントは非公開)

 

 

それぞれのプロフィール

それぞれのプロフィールについてはみなさんよくご存知でしょうし、ほんとにざっと。

ウィキとか見てください。雑でごめんなさい。

BABYMETAL(ベビーメタル)について

女性3人組のメタルダンスユニットで卓越したメタルバックバンドによる演奏が特徴。元々はアイドルグループさくら学院のメンバー。

アメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、カナダなど多くの国でワールドツアーを行なっている。レディ・ガガオープニングアクトやスクリレックスと共演。

Peter Barakan(ピーター・バラカン)について

イギリス出身。ブロードキャスター、音楽愛好家、ラジオDJ。

YMOの楽曲で作詞を担当。音楽に関する著作多数。第50回ギャラクシー賞においてDJパーソナリティー賞を受賞。『Peter Barakan's LIVE MAGIC!』という音楽フェスを主催。 

 

 

 

「まがい物」発言に対する反応

この発言に対し、ファンからの発言に対する非難はもちろん、普段ベビーメタルに関心がない層からも意見や議論が生まれることとなりました。周囲の人間の中にも「ベビーメタル、がんばってる気がするし、面白いしいいじゃん。」という意見を目にしました。

 

中でも高橋健太郎氏、と柳樂光隆氏によるツイッターでのやりとりが目を引きました。

togetter.com

ここではつまるところ、

・まがい物いいじゃん。

・ぼく(たち)もまがい物。

・そもそもピーター・バラカンの音楽的趣味は偏りがあるし。

というものです。

暗にベビーメタルまがい物認定と、ピーター・バラカン評を同時に行なっている感じですが、まあそういうところだろうなと思います。

 

そもそもベビーメタルとピーター・バラカンが相入れるわけはなく、ピーター・バラカンにコメントを求め、それに答えたというのが不幸な出来事だった、と言えるんじゃないでしょうか。

 

そこでもうちょっと考えてみる

実際のところ、海外でのベビーメタルの評価はどうなのかというと、コンセプトとして非常に面白い、というのが評価されている主なところで、正当なメタルではないという認識のようです。

これは海外でも議論を呼ぶところのようで、既存のメタル聴きたいならメイデンとか聴けよ、みたいなのもあるみたいです。

 

新しい音楽が生まれ、文化として形成されていく時には基本的にそれまでその音楽のファンであった人がアンチのようになり、新しい音楽を支持する人たちとの摩擦が往々にして生まれます。

それは音楽や、文化に限らず例えば会社勤めをしていて、職場のルールを変えよう、みたいな時に生まれる賛成と反対に似ているかもしれません。

 

50年、100年たてばメタルの音楽文化の中にひとつのあり方として含まれていくんじゃないかなと考えたりもします。ベビーメタルのような、本流とは違うけれどこういうメタルのあり方もあったと。そこまで残っていくかはベビーメタル次第だと思いますが。

 

 

「まがい物」でない音楽として

上記のツイッターまとめでも、バラカン氏はブルーズが好き、ということが語られています。

日本という国の音楽は、外国からの影響を受けてい形成されているものがほとんどと言えます。ポップスというのはそもそもあらゆる音楽から成り立っている音楽なのでさておくとして、ジャズ、ブルーズ、ブラジル、ロック、レゲエ、ほとんどなんでもそうです。日本は大概の音楽で本流における一次情報、中心地にはなりえないということ。

日本が中心地として評価されているのはエンターテイメントでは、アイドル、アニメやマンガでしょう。これは多くの日本人、そして外国人が認識しているところだと思います。かつてはこれにゲームもありましたが、その座はもはや譲ってしまっていると思います。

 

ベビーメタルの場合、そのアイドルという存在とメタルを組み合わせた絶妙なコンセプトが海外で受け入れられ、評価されています。

ただ、日本の音楽に関する評価の主なところがそれで良いのか、というのがバラカン氏の「まがい物」発言から読み取れるような気がしています。

これはもう完全に私自身の個人的な推測、感覚でしかないのですが、他にも本流として海外に評価されていい音楽が今の日本にもあるはず、というのがバラカン氏の思うところなのではないでしょうか。そしてそんな音楽があることに気づかない、評価しない海外へのメッセージも内包されているのかもしれない。

そんなことを考えました。

 

そして本流として、音楽をきちんと継承していくこと。

ベビーメタルが正当なメタルとして海外で評価を得たいのなら(それを望んでいるかはわかりません)、3人がメタルという音楽を学んでいく必要があるように思いますし、バックバンドを含めてベビーメタルというアーティストにしていたらまた評価のあり方も違ったかもしれません。それじゃそもそもベビーメタルじゃないじゃんっていう話ですが。

ただ、アーティスト、企画、スタッフ、すべてがその音楽に対してきちんと敬意を表している、背負っていく、というスタンスをこれからもっと打ち出していく必要はあるんじゃないかなと考えますし、そうしたらよりベビーメタルが理解され、広がり、浸透していくと思います。

 

これはピーター・バラカン擁護、ベビーメタル擁護ではなく、両方を応援したい。

つまるところ日本の音楽を応援したいという想いです。

私のようななんでもない些末な人間にできるのは、それだけだと思うので。

ことなかれ主義と言われるとつらいですが。

 

最後に

言語の壁というのはやはり大きく、特にWEBやプログラムの世界では一次情報が英語であるため、英語圏との発展スピードに大きな差が生じます。

それでも音楽の分野は、言語の壁ではないところで勝負できる。音楽は勝ち負けじゃないけれど。

日本の音楽がうまく世界に発信できる仕組みが生まれていくといいなと、期待しています。

 

そして同時に、大多数が好きと言っているものに対して、嫌い、好きじゃないと言えなくなってきている世の中を少し恐く感じています。

メンタル弱い人間は黙っているしかない、それもうやめたいなって。

賛成・反対、好き嫌いだけで考えてしまうと、それだけで思考がストップしてしまって、深いところを見ようという意識がなくなってしまう。

自分がどう考えるか、それも含めて学びになったニュースでした。

 

 

www.babymetal.jp

 

 

 

 

ロックの英詞を読む──世界を変える歌

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ぼくが愛するロック名盤240 (講談社+α文庫)

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魂(ソウル)のゆくえ

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ピーター・バラカン音楽日記

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Fred Hersch(フレッド・ハーシュ)『Alone at the Vanguard』を聴く

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アメリカのジャズピアニスト、Fred Hersch。

ジャズにおける「ピアノの詩人」とも謳われる、ジャズピアニスト、作曲家のフレッド・ハーシュ。

最近ECMを以前より聴くようになってからか、静かなピアノを好むようになった。

ひとりぼんやりしたい時、こうしてブログを書いている時。

美しいピアノの旋律、連なり、流れに身を委ねる。

心がふっと落ち着いていく感覚。

 

昔も綺麗なピアノは好きだったけれど、今よりもテクニカルなものだったり(フレッド・ハーシュも相当テクニカルだけど)、切なさや悲しみの中の叫び、みたいなどちらかというと表現として掴みやすいものを好んでいたと思う。

 

フレッド・ハーシュのピアノは柔らかく、それでいて粒が立っていて、そのピアノの音色の中に自分が包まれているようで、なんとも心地いい。

静かなピアノソロというと、ひとり対峙する緊張感やシリアスさ、冷たさ、痛切なもの、そして芸術、そんなキーワードが当てはまることが多いけれど、そのどれとも違う。「ただひとり詩を詠む」、そんな景色だ。

このアルバムもAloneと書かれているけれど、孤独というよりは独りでいることの喜びを感じる時間のような幸福感を覚える。

 

先日知ったんですが、ブラッド・メルドーの師匠だそうですね。フレッド・ハーシュ。

知らなかった。

 

最近、あらためてこの長年付き合ってきたピアノという楽器の音色の多彩さに、日々発見と喜びを感じる。

声を大にしてではなく、ひとりそっと、「ピアノって、いいもんだな。」と思うそんな時間。

 

 

 

Alone at the Vanguard

Alone at the Vanguard

 

 

Solo

Solo

 
ソロ [日本語帯/解説付] [輸入CD]

ソロ [日本語帯/解説付] [輸入CD]

 

 

Sarabande

Sarabande

 
Fred Hersch Plays Jobim

Fred Hersch Plays Jobim

 
Floating

Floating

 
Fred Hersch / Norma Winstone: Songs & Lullabies

Fred Hersch / Norma Winstone: Songs & Lullabies

 
エブリバディーズ・ソング・バット・マイ・オウン (紙ジャケット仕様)

エブリバディーズ・ソング・バット・マイ・オウン (紙ジャケット仕様)

 

 

 

【クロレッツ】小室哲哉と共作した、しおたん(塩谷舞)が話題に。

まさかの小室哲哉の楽曲に、しおたん歌詞を提供。

ciotan.com

 

上記のブログを見ればコトの発端から顛末まですべてわかるのですが、Web業界で知らない人はいない、しおたんこと塩谷舞さん。

 

本業はライターやPR、企業などのオウンドメディア運営とまさに今の時代Web欠かせない仕事をされています。Webディレクションの仕事をされてたのが遠い昔に感じる。

しおたんが編集長を務める、チーズタルトなどが人気のスイーツメーカーBAKEのオウンドメディアBAKE MAGAZINEは立ち上げ当初からものすごく話題になりました。

 

アートや最先端のテクノロジーにも造詣が深く、Perfumeを担当していることでも有名なメディアアーティスト真鍋大度さんへのインタビューや、SONYの新しい居住空間コンセプト「Life Space UX」にも関わっています。

現在ウェブデザイン誌の「WD Web Designing」で連載も持っていて、書くものがどれもおもしろく、ユニークでありながら真摯さを感じます。

 

なので歌詞を書く、というのはとてもわかるのですが、まさか小室哲哉とは...。

しかも鈴木あみ。Be Together。

 

 

完全に水をあけられた感。

いやそもそもまったく足元にもおよんでない感。

もともとリアルでもタレント豊かな人で、生きた人ですが、敬意を込めて「Webに最適化されている人」と思っていたし、もはやWeb=しおたんと思っていたけど、はるかに超えた。

すごい。

衝撃的すぎてブログに書いちゃったよ。

 

 

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在りし日のしおたんさん。

BAKEのチーズタルト、おいしいですよね。

ciotan.com

 

 

 

 

 

Web Designing 2016年 5月号

Web Designing 2016年 5月号

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シンガーソングライター菅野恵が新MV「深淵」を公開。

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菅野恵(すげのめぐみ)が新MV「深淵』を公開

菅野恵が5/14にリリースするニュー・アルバム『Hello to U』収録曲「深淵」のMVをYouTubeで公開。

 

この映像は菅野恵自身が以前に住んでいた場所を中心に撮影されている。

人それぞれが抱える孤独、他人からは伺い知れないものを東京の夜の街並みに重ねながら描き出し、独り歩く後ろ姿やタバコの煙をくゆらす場面、人が持つふとした瞬間の「深淵」という表情を切り取った、印象的なMusic Videoになっている。

監督はオオタシンイチロウ。

youtu.be

 

菅野恵は福島県出身のシンガーソングライター。

東京と福島を中心に活動、これまでに4枚のミニ・アルバムをリリース。

「メッセージ」「グリーンピース」「ドラマチック」の3曲が福島銀行のCMソングに採用されており、2016年4月には福島テレビの新番組「きみこそ明日リート」のテーマソングに書き下ろしの新曲「The Challenger」が決定している。今期待の女性シンガーソングライター。

 

これまで制作されたMVは現在もYouTubeで公開中。

 

「運命の恋」Music Video

youtu.be

 

「メッセージ」Music Video(福島銀行CMソング)

youtu.be

 

 

菅野恵 オフィシャル・ウェブサイト

菅野 恵 Official WebSite

 

菅野恵 Twitter

twitter.com

 

 

 

 

 

NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST【CD】

NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST【CD】

 
NIPPONNO ONNAWO UTAU BEST【アナログ(数量限定生産)】 [Analog]

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ハチのことば∞

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わが美しき故郷よ

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歌で逢いましょう

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歌で逢いましょう [完全限定生産アナログ盤] [重量盤180g 2枚組仕様] [Analog]

歌で逢いましょう [完全限定生産アナログ盤] [重量盤180g 2枚組仕様] [Analog]

 

 

 

 

マンガ『BLUE GIANT』に学ぶミュージシャンのあるべき姿:その1

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小学館ビッグコミック」で連載されている石塚真一のジャズマンガ『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』。マンガ大賞2016で第3位に入り、ジャズ好きならずとも、そのおもしろさに引き込まれている方も多いと思います。

ジャズという音楽と真摯に向き合い、多くのジャズミュージシャンを取り上げていることから、ジャズを知らない方にとってもとても良い入門書になるのでは。

マンガの中で描かれているものはミュージシャンでも学ぶこと、改めて発見することも多く、この『BLUE GIANT』を題材にミュージシャンはどうあるべきかや、ミュージシャンに関わるあれこれを考えていきたいと思います。今回は第1巻。

ミュージシャンにとっては当たり前のことも多いかもしれませんが、最初から振り返ってみる、という感じです。

 

とにかく練習する 

第1巻以降も度々描かれる練習シーン。練習場所を確保できない主人公の宮本大は河原土手、トンネルの中など人気のない場所で練習をします。晴れの日はもちろん、雨の日もトンネルに向かい、夏の暑さでダラダラと汗を流しながら。

効率よく理にかなった正しい練習法というのは先生についたり、スクールに通ったりすると教わることはできますし、体系化されたものもあります。初心者が闇雲に独学でやり続けると変な癖がついてしまったり、あまりにも遠回りだったりします。

ただ、楽器を教わる、音楽を教わることを選ぶとついつい受け身になってしまう危険性もあります。毎日の練習ノルマが決まってしまい、それをこなすためだけの毎日。最初はキラッと光る原石だったものが、気がつくと見た目だけ綺麗なニセモノになってしまっている。

 

一番良い教材はいつも目の前にあるはずで、CDやレコードなどの音源、いまだったらYouTubeもありますし、なによりライブを観に行って肌で音を感じるというのが大切です。好きなミュージシャンがどういう音色でどういうフレーズをどういうリズムで演奏しているのか、動画やライブであればさらにどう体を使っているのか、丹念に丁寧に耳と目をフルに使って観察することが重要です。

ミュージシャンが最終的に求めるもの、あるいは最初から求めているものはおそらくみな一緒で、出したい音を出す、表現したい音楽を表現する、ということだと思います。

自分が出したい音はなんなのか?この練習でそれが実現できるのか?

「なんかここんとこしっくりこないなー」と思ったら一度自分で自分をレビューしてみること。実現したいこと見据え、見失わないことが大事です。

 

個人的には人生で一度は、ある程度の期間教わった方が良いなと思っています。

比較的自由と思われているジャズであっても、理論以外にいろんなルールやマナーがあります。自分というミュージシャンを観察してもらいアドバイスをもらうことで、自分だけでは気付きようのない発見もたくさん生まれます。

そしてとにかく練習する。その中で自分に合ったやり方、練習と休養のバランスなどを考えていくと良いと思います。

 

 

練習場所の確保:土手で練習する

個人的なことを話すと、自分が担当している楽器はピアノで、基本的に練習場所は家やスタジオになります。他にはスタジオなど、グランドピアノやアップライトピアノは持ち運ぶことができない、シンセやキーボードはアンプやスピーカーがないと音が出ないため、自ずと練習場所は限られてきます。ヘッドフォンをつないで家で練習したり、しっかり音量を出して練習したい場合はスタジオ、と基本的に二択です。

 

『BLUE GIANT』の主人公、宮本大はテナーサックス。作中では河原の土手で練習するシーンが度々出てきます。このご時世「河原で練習...?」と思われるかもしれませんが、サックスやトランペットのように音が大きい楽器は練習場所の確保というのは非常に重要かつ、難しいところです。親が音楽をやっていて理解がある、防音部屋があるなどそういった環境があればいいですが、この宮本大のように家族が音楽をやっているわけでもなかったり、例えばマンションなどでは家で練習するとなると露骨に近所迷惑になってしまいます。苦情になりやすい生活騒音を調べると、やはり楽器が上位に来ることが多いようです。スタジオを借りる費用も回数を重ねるとバカにならないため、自分の周囲でも河原の土手で練習するという人は割といます。

 

あとはスタジオより安く済むのがカラオケ。店舗数も圧倒的に多く、音楽スタジオが近くにない、土手もないという時にまず候補にあがります。ドラムや電子楽器がいないアコースティックな編成の場合、バンドのリハーサルをカラオケでやるというのもあります。場所を借りて練習するとなると、場所代だけでなく交通費やカラオケならドリンク代などもあるので、トータルで自分の予算に合わせた方法を考えるというのがやはり大事です。音楽をやっていくのはやはり何かとお金がかかるので、練習場所についてはなるべく安く済ませたいですね。

費用面で余裕があれば、楽器店などが運営している音楽教室に入会し、空き時間に借りれるスタジオを借りるという方法もあります。結構高くつきますが。

 

近所の楽器音に悩まされている人にとって、音楽は騒音でしかありません。

ご近所付き合いや周囲への気遣いを大切にすることが、音楽を続けていく土台作りとして大事だなと感じます。

 

音楽の初期衝動。初心忘るるべからず。

主人公の宮本大も最初からジャズが好きだったわけではないようです。

音楽に限らずどんな職業でも、そこにハマるきっかけというのは必ずあります。

宮本大の場合は友達と訪れたジャズクラブ(ジャズバー?)でのライブを観たことがきっかけになりました。

自分の場合はテレビゲームでした。幼い頃からピアノは教わっていましたが、夢中になるわけではなく嫌々通う習い事というのが現実で、大好きだったゲームをやっている時に流れているBGMに「なんて綺麗なメロディーなんだろう」と思ったのが好きになるきっかけで、音楽をやっていきたいと思った最初でした。

音楽をやってモテたい、ヒットをとばしてお金持ちになりたい、という気持ちが出てくる時もあるかもしれませんが(発想が旧時代的すぎるか...)、誰しも時間を忘れて虜になった瞬間があるはずです。

 

音楽を続けていくと、辛い場面に日々遭遇します。もうびっくりするくらい。

全然上手くなってるように感じない日々の練習、ライブで大ポカしちゃった、すごくシビアなレコーディング、先輩やお客さんからの痛烈なダメ出し、などなど...。

「常に楽しい」という人も時々いますが、大半の人はそうでないでしょうし、そういう時に自分の原体験に立ち返ってみるというのはとても大事です。

きっと音楽に感動して、やりたい!と思ったことに真っ直ぐで、正直だったはず。

自分の音楽にとってのルーツというのはつい忘れがちですが、モチベーションの維持、向上のためにも時々省みる時間を用意してあげるのが良いと思います。

音楽は楽しく。

 

楽器のランニングコスト:消耗品について

音楽をやる上で一番お金がかかるのはやはり楽器そのものですが、それ以外にも日々色々なところでお金が消えていきます。現代風に言えばランニングコスト、でしょうか。

サックスやクラリネットオーボエなどであればリード、トランペットやトロンボーンであればグリス、ギターやベースであれば弦やピックが代表格でしょうか。ピアノにも年に一度は調律が必要ですし、楽器は楽器を買っておしまい、というものではありません。それぞれの楽器にそれぞれの消耗品があります。楽器そのものを定期的にメンテナンスする必要もあります。

楽器を始めた段階で、自分の楽器に関わる消耗品はなんなのか、月にどのくらい費用がかかるのか、家計簿とは言わずとも把握しておいた方が良いです。新しいマウスピースやシールド、欲しいものはどんどん増えていきます。

 

ミュージシャンであれば、その楽器や機材でどのくらい稼げているのか、新しく導入してその分だけ稼げる見込みがあるのか、などを考えると現実的なところが見えてきていいかもしれません。欲しくなるものは本当に際限なくあるので、うまく取捨選択の材料にするのも良いのではないでしょうか。なにより旦那さんや奥さんなど、家族を説得するために。笑

 

 

ジャズってなに?オシャレな音楽?

これはよく聞かれることでもあり、難しいところでもあります。というか、みんなどう答えているんだろう?うーん。

人によってオシャレな音楽と捉える場合もあるし、渋い音楽と捉える人もいます。自分の経験だと高校時代に教室でビル・エヴァンスの『ポートレイト・イン・ジャズ』をかけていたら「なんでそんな渋い音楽聴いてんの?それってジャズ?」と言われたことがあります。

ジャズという音楽が生まれて気づけば随分たちますが、その音楽的なスタイルも様々です。ジャズと言っても一口にくくれない、そんな時代になりました。

 

『BLUE GIANT』では楽器がメインのインスト、だったりアドリブがあって、とか熱い、といった表現で言われています。もちろんヴォーカルものもたくさんありますが、基本的に英語です。 気軽に聴くのが難しい音楽になってしまったのかもしれません。

作中のようにひやかし、からかいならともかく、本当にジャズを聴いてみたいと思っている人に聞かれたらどう答えるのがいいんでしょうか。

音楽を全然聴いたことがなくていきなりジャズというのはあまりないと思うので、相手の音楽的な趣味(綺麗なのが好き、元気なのがいい)というのに沿った音楽を提案したり、というのが無難かな...。

あとは自分が経験した原体験に近いものを一緒に追体験してもらうのがいいかもしれません。それが一番紹介する側も楽しく、熱くなれるんじゃないかと。

感動の度合いとしてはやっぱりライブに勝てるものはないな、と思っています。

 

とは言うものの、作中のひやかしは結構的を射ていて、「ワケがわからない」「メロディーがとりづらい」「何がいいのかわからない」というのは確かにそうだなと思います。そういう人には「なぜジャズを聴いてみようと思ったの?なぜ興味が湧いたの?」というところから真摯に答えていくのも音楽を伝える側として大事なことなんじゃないかな、と感じました。

 

 

「夢見てていいねー」周囲の心無い言葉。

世界で一番のジャズミュージシャンになる、と真っ直ぐな主人公宮本大。

さっきのひやかしクラスメイトから「夢見人的な」といった感じでもつっつかれています。これはもうミュージシャンあるあるで、社会人になる年齢ともなると相当しょっちゅう言われます。むしろこのクラスメイトすげーな、と思ってしまったりします。

内心は「だってやりたいんだもん!」としか言いようがないだけに、いい答え方がなかなか浮かびません。軽く流してしまったり、話題を変えたり。

ミュージシャンでない人にとってミュージシャンのわかりやすい成功例はいまだに「メジャーデビュー」「テレビに出る」「有名なアーティストと共演する」「100万枚売れる」みたいなところで、なかなか理解を得るのは大変です。

総務や経理など日の当たりにくい部署と同様に、ミュージシャンで生きるにも様々な生き方や役割があります。そのあたりをうまくわかってもらえるといいんですが、人間関係にあっさり亀裂が入ってしまうセンシティブな話題ですね。

ただ、30代もすぎるとみんな色々人生経験も積んできて、どの世界で生きるのも大変だというのがわかってくるのもあってだんだんと落ち着いてきます。

 

一方で、ちゃんと道筋を立てて生きていられればそういうことを言われることもないはず。自分が何年後どうなっていたいのか、そのために今何をすることが必要なのか、自分のライフプランを見つめるいいチャンスでもあるかもしれません。

まあ、イラっとくるんですけどね。笑

 

音楽に限らず、自分が周囲に立つ側になったら人が夢中になっていることをバカにしないようにしよう、と思いました。そもそも人としてそういうこと言うのはないだろう、と。

 

 

音を聴く

自分の音を出す、ということ以上に大事なことかもしれません。

第1巻の終盤で「うるさいんだよ!君は!!」とお客さんに言われてしまう宮本大。

自分の演奏に没頭するあまり、周りの音がまるで聴こえていない、考えられてないということがあります。ジャズに限らず音楽は会話なので、相手の話を聞くということをおろそかにしてはいけません。自分が目立つことではなく、その場の音楽がどうやったら最上のものになるか、そういう意識でライブにのぞむことを心がけています。

そういった瞬発力や判断力はやはりライブの現場でこそ培われるもので、意識をもって数をかさねていくしかありません。ポップスのメジャーの現場などは特にそれが顕著だと感じていて、その場のスターであり主役は紛れもなくアーティスト本人です。

そういった場所で自分本位なプレーや判断をしてしまうと、いくら技量があってもすぐにクビを切られます。名脇役でありつつ、ソロ回しなど必要な場面で主役になれるよう、日頃から意識していると良いと思います。

ただ、失敗はつきものなので必要以上に慎重にならず、臆病にならず。

捨てる神あれば拾う神あり、自分も何度か経験したことのある象徴的なシーンでした。

 

 

音楽に一番大事なものは、ハート。

 作中で友人をサックスで励ますシーンが2度出てきます。

これはもう書く必要もないかもしれませんが、音楽にとって一番大事なのはやっぱりハートです。テクニックや理論はそれを助けるためのあくまでも補助輪。

人を想う、ということもそうだし、自分が心から出したい音。自分の心の奥深くにある音。それを体の全部、全身全霊を用いて音にする。

これがあるからこそ、人に伝わり、響き、残る。

一音一音を大切に。それが練習であっても。

 

 

どの項目もちょっと触ったくらいのつもりが、書き始めたら随分長くなってしまいました。流し読みしてもおもしろい、じっくり考えてもおもしろい、読み返してみてもおもしろい。いいマンガだなとあらためて思いました。

作中に出てきたジャズメンを取り上げようかと思ったんですが、そんな余裕ないですね。それはまた別の機会に。

オススメします、『BLUE GIANT』。

 

 

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 1 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 2 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 2 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 3 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 3 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 4 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 4 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 5 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 5 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 6 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 6 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 7 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 7 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

BLUE GIANT 8 (ビッグコミックススペシャル)

BLUE GIANT 8 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

 

 

 

 

 

 

喪失と追悼:Prince『HITnRUN phase two』

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Prince突然の死

日本時間4/22午前3時頃、Princeの突然の死が世界中を駆け巡りました。

朝起きて知った、という方も多いとおもいます。

 

僕はというとちょうど寝ようという頃で、突然の訃報に目を疑い、ショックで眠気もどこかへ行ってしまい茫然としました。絶句、というのが正しいかもしれません。

その死を受け止められず、プリンスを聴くという気持ちにもなれずただ漂っている、そんな時間でした。

 

世界中のミュージシャンをはじめ、著名な方たちやファンが追悼のメッセージを寄せ、その数はおびただしいものでした。SNSのタイムラインはプリンス一色。

 

先日プリンスが救急搬送されたというニュースを目にして、その時「やばいんじゃないか」と一瞬不安がよぎりましたが、インフルエンザということだったのでまあ大丈夫だろうなと胸をほっとなでおろし日々を過ごしていました。

だから逆にというのもあるし、57歳という若さもあって、驚きは大きかったです。

こんなにもショックなのかと自分で自分にびっくりもしました。

Prince信者かというとそういうわけではない、というのは自覚しているところでもあったので。

ただ、音楽にふれて生きてきた中で、節目節目というか、人との結びつきを考える時にプリンスがそこにいた、ということは何度もありました。

 

一夜明けて、一日を無為に過ごし、今ようやく何か聴こうと思い取り出したのはPrinceの最新作であり遺作となってしまった『HITnRUN phase two』でした。

これは以前にもこのブログで取り上げたことがあります。

 

Princeの作品について 

Princeのファンはここ日本でもたくさんいて、思い入れのある曲、アルバムというのがそれぞれにあることと思います。

デビュー作の『For You』、自身の名前を冠した2作目『Prince』、その存在を世界中に知らしめ大ヒットとなった『1999』やアカデミー賞を受賞した自伝映画のサントラ『Purple Rain』、衝撃的なジャケット、アルバム構成(トラック分けされておらず通しで聴くしかない)の『Lovesexy』や2000年代に入っていいわゆるジャズファンやファンクファンにも衝撃を与えた『The Rainbow Children』や『Musicology』など把握できるオリジナル・アルバムだけでも51枚もの作品をリリースしています。

 

僕自身Princeをリアルタイムに聴き始めたのは、ジャズを始めた時期と重なった『The Rainbow Children』あたりからです。他の人と比べると相当に遅い、です。

その頃からでも20作近くリリースしているんですから、その創作意欲というのはものすごいなとあらためて感じます。

 

昔からのファンからすると、近年のPrinceは以前と比べてあまり評価できないというところももしかしたらあるかもしれませんし、特に異論を挟むこともないです。僕自身、遅いので。もちろん昔から今に至るまですべてのPrinceが好きな方もいらっしゃると思います。

僕が思ったのは、やはり限りなく今に近いPrinceを今聴きたい、ということでした。

 

『HITnRUN phase two』

そしてこの『HITnRUN phase two』。

これは2015年アメリカのメリーランド州ボルティモアでの痛ましい事件に端を発した「BALTIMORE」から始まります。

いまだ存在する黒人への人種差別。この事件は大規模なデモへと発展し、日本でも大きなニュースとなりました。

 

戦争がないということ、それは平和ってことじゃない。

僕らはもう泣き疲れた、人が死んでいくのは耐えられない。

銃を捨てよう。

今こそ、愛そう。聴こう、ギターを。

正義がないのなら、平和なんてない。

 

プリンスの痛切な叫び、訴えが心に深く刺さります。

そして音楽家としてのすごさを感じるのは、その日々の情景や沈痛な空気、悲壮感やどこかに漂う「まだこんなことを繰り返していくのか」という諦めにも似た感情が、コードワークやアレンジに見事に落とし込まれていて、それが言葉と一体になって迫ってきます。

こういった表現ができるミュージシャンというのは、本当に少ない。

 

 

そしてここからプリンスは黒人としての生、言葉、音楽、そして愛をこのアルバムで描いていきます。

2曲目「ROCKNROLL LOVEAFFAIR」でそこまでの沈痛な空気ががらっと変わり、音楽に身を委ねよう、そんな空気が現れます。

とにかく2と4をとにかく入れ込むというビジュアルもさることながら、歌詞の韻の踏み方も小気味好くユニークな「2.Y.2.D」。

思わず聴き惚れてしまうムード満載なイントロから始まるR&B、Soulな「LOOK AT ME,LOOK AT U」。YouをUに、toを2、forを4というのはもちろん、WhyをYに、IをEyeにととにかく置き換えまくるのが歌詞を読む時のビジュアルとしてもおもしろい。アメリカって今みんなそうなんですかね?海外のアーティストの場合ライナーに歌詞を入れない人も多いですが、プリンスがそれだけ歌詞の表現を大事にしているのか、というのがよくわかります。

「STARE」でもプリンスは数字を使ってたくさん遊びます。ファンクの1.2.3をSTAREに見立てるように。秀逸。

「XTRALOVEABLE」。これはもうタイトルでやられちゃいますね。エクストラですよ、エクストラ。EYE'D REALLY LOVE 2 C U DANCE。ダンサブルでハッピーな1曲。

体の芯まで音楽を楽しむ。

 

そして「GROOVY POTENTIAL」。このアルバムで「BALTIMORE」の他に1曲なにか選ぶとするなら(色々迷っちゃいますが)この曲です。

WE GOT THE GROOVY POTENTIAL、グルーヴの可能性ってもんを見せてやるよと言わんばかりに、変幻自在にうねり、とてつもないグルーヴに到達する。

黒人音楽に魅せられたミュージシャンには常にグルーヴというのが付き纏うけれど、こういうもんです、はいどうぞ!とベストな料理が出てきたという感じです。

ぐうの音も出ない。文句なしに狂えます。

 

Soul Loveな「WHEN SHE COMES」、底知れない歪のエネルギー「SCREWDRIVER」、音楽の神様とユニークに会話する、ミュージシャンに勇気をくれるような「BLACK MUSE」、そして個人的にはプリンスの宗教色を感じる「REVELATION」、最後は「あなたの腕の中はビッグ・シティ」となんだか最高な気分にさせられてしまう「BIG CITY」で終わります。

 

かつてのPrinceが世の中に与えたエポックメイキングなサウンド、というのは正直ありません。

ですが、社会や生をひっくるめた黒人音楽とはなんなのか、というのをこの作品でPrinceから学ぶことができますし、それにはこのアルバムがベストのひとつなんじゃないかなと思います。

 

最初このアルバムは配信のみでリリースされていて、それをずっと聴いていたんですが、CDがリリースされて聴いてみると音の違いにびっくりしました。それほど大きくは変わらない印象の音楽もありますが、この作品は全然違います。

最近はApple Musicで音楽を聴くことも多くて、ここまで違うとあらためてちゃんとCD買おうと思わされました。

配信でもいいですが、ぜひCDで聴くことをおすすめします。

 

悲しみから喜びへ、生きている限り変えていかなきゃいけないんだな。

聴いているうちに顔が前へと向いている、音楽の喜びと共に。

そう思うアルバムです。

 

一夜明けて

Princeの死のショックをPrinceが変えてくれた。そんな夜です。

 

折しも、Piano&a Microphoneというピアノと歌のツアーの真っ最中でした。

Princeと言えばやはりギターのイメージが強くあるので、その形でいったいどんな音楽を見せてくれるのだろう、そしてそのあと生まれる作品はどんなものだろうと楽しみにしていました。果たしてphase threeがあったのか、とかそういうことも考えてしまいます。

 

PrinceのCDを全て集めるのは至難の技ですが(これだけのビッグ・アーティストでこれだけ手に入らないというのはすごい)、これからも聴いていない作品を聴いていこうと思います。

 

 

Hitnrun Phase Two

Hitnrun Phase Two

 
Hitnrun Phase One

Hitnrun Phase One

 
Art Official Age

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Prince [Analog]

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Prince

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Purple Rain (1984 Film)

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For You [12 inch Analog]

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1999

1999

 
For You

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Lovesexy

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